さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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リクの「アウトレイジと平成最後の三冠牝馬さんとの子ども」の話。

汚泥の中(ドン底)から星へと至り
届かぬと分かっていても手を伸ばし
"凡人"だと知りながらも諦めず
そして感情はほとばしる

…なら、その続きは?



銀色のギャングスタ!

「アッハッハ、負けちまったなァ!」

 

そう言って、ケラケラと笑う男がいる。

観客席からは『ちゃんとしろよー!』なんてヤジが飛んできている。

が、男は「ちゃんと頑張ってらァ!」なんて。

それは彼らにとってのいつも通りのコミュニケーションだ。

負ける時は負ける。勝つ時は勝つ。

大外一気を決め込むか、それとも大逃げを打つか。

出遅れはどうだ?その脚で差し切れるのか?

その男がいるレースはいつだってドキドキする。

勝っても負けても潔く、カラリと笑って済ませるその男を、彼らは愛した。

 

「俺はシルバギャングスタ!

楽しんでこうぜ、阿呆ども!!」

 

*

 

「飽きた〜めんどくせ〜やだ〜!」

 

じたばたと駄々をこねるシルバギャングスタを同期であるキャッチツーツーが押さえ込む。

「俺ァトレーニングに行くんだよ!」とやいのやいのうるさい彼を強かにシバいて座らせるのだ。

「しっかりしろよ、生徒会長サマ」と言って。

 

「生徒会長なんてさぁ〜?ほら、あの先輩とかいたじゃんかぁ。

なんで俺なワケェ?」

 

グダグダ管をまく生徒会長シルバギャングスタに副会長であるキャッチツーツーは言う。

 

「だってお前三冠バじゃん」

「ただのぐーぜんー」

「じゃあお前に負けた俺はどうなるんだよ!」

「痛い痛いバカ!この筋肉ゴリラ!!」

「オメーもどっちかというとそうじゃねぇか!」

 

ぎゃあぎゃあワイワイ。

普段なら『ふたりともカッコイイ…』などと後輩のウマ娘から言われていると言うのに…(同期のウマ娘にはいろいろと知られてるので…ハイ)。

 

「ほら、さっさとしろボケ」

「へ〜い…」

「必要最低限の分は終わらせとかなきゃいけねぇからな」

「そりゃー分かってるけどよォ」

 

クルクルと器用に万年筆を高速回転させ始めるシルバギャングスタ。

その様子を見てため息をつきながらサラサラと書類を進めていくキャッチツーツー。

 

「…まぁ、終わらせるモン終わらせてた方が気が楽だろ」

「まぁなぁ」

「俺ら、凱旋門に行くんだからさ」

「……」

 

ぴたり、とペンの音が止まる。

それを合図とでもいうようにふたりの視線が合い、ニッと互いに笑い合う。

 

「今度こそ、本(・)気(・)の(・)お前を喰ってやるから、覚悟しろよ?」

「そりゃあ重畳。なら美味しく仕上げておいてやる」

 

互いに、一歩も引かず睨み合う。

世間では『宿敵』と謳われるふたりのプレッシャー(あいだ)に入れる存在など有らず。

 

「楽しんでこうぜ、クソッタレ」

「そりゃあこっちのセリフだっての」

 

そう言って笑うふたりが、凱旋門賞でワンツーフィニッシュをキメるまであと…?





2020年代後半~2030年代初頭を想定してる。


【銀色のギャングスタ】:
シルバギャングスタ。
父シルバアウトレイジ、母アーモンドアイの牡馬。
体格がいい。芦毛。主戦騎手はkrtn。ゲートが大嫌い。
なので脚質は出遅れ故の大外一気の追込みかロケットスタートキメての逃げに逃げを打つ大逃げ。
勝つ時も負ける時も盛大に。
最初っから最後まで目の離せない走りをする。
人生(バ生?)ってのは短いんだから楽しんでこーぜ!な刹那主義タイプの男。
夢を見ずにはいられなかった父の性分が大幅強化されたような存在。
テンションは基本ゴルシちゃんしてる。し、ゴルシちゃん本人とも仲がいい。
いちおう三冠バで凱旋門賞バになった。
キャッチツーツーとはマブ。そしてちょっと重めな感情をキャッチツーツーに向けてる。
俺、お前になら食べられてもいーよ。だからお前のために美味しく育つね、みたいな。


【理不尽】:
キャッチツーツー。銀色のギャングスタの宿敵。
父キズナ、母父ジャスタウェイの牡馬。体格はすこぶるいい。黒鹿毛。
名前の元ネタはジ/ョ/ー/ゼ/フ・ヘ/ラ/ーの小説『Catch22』から。
『Catch22』には「どう足掻いても解決策が見つからないジレンマ、どうにもならない状況」という意味がある。
基本理不尽な強さで周りをボコボコにするのに銀色のギャングスタ相手にだけは翻弄されまくり勝ったり負けたりする。
性格的には真面目で優等生なのに銀色のギャングスタと一緒にいる時は基本ポンになるため、「アイツ、銀色のギャングスタといる時がいちばん面白いよな」と周りから言われている。
結構な頻度で銀色のギャングスタと漫才してる模様。

なお銀色のギャングスタへ向ける感情は(お察しの通り)重い。
いつか本気のお前を喰って、喰い尽くしてやる…!という感情。
でも自分の方が喰われるかもな、…それもそれでまたいいかもしれないと思ってたりもするらしい。
凱旋門賞は銀色のギャングスタに惜しくも届かず2着だったがG1・7勝くらいは普通にしてるウッマ。



そんな二頭がいる、未来の話。
…この父・母父配合で"シルバムービスタ"(Silver Movie Star)って名付けられる子ができそう。
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