さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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本当はイベントの時に出すつもりだった話なんDA☆



◆どうかワルツを

夕暮れの教室にキミがいた。

夕陽に照らされたキミの右脚には痛々しいギプスが。

 

「…やぁ、誰かと思えば」

 

緩やかに瞬きをして、ボクを見とめるキミ。

言外に座れ、と示されてその通りに座る。

 

「そう言えば、…キミとこうやって話すのは初めてだな」

 

座ったボクを見て、ボソリとキミが言った。

まぁ…それは確かに。

ボクがキミを見ていただけでキミがボクを見ることなんて…。

 

「まぁ、いいか」

 

はふ、とゆるく息を吐いたキミの、右脚のギプスが嫌に目につく。

誰よりも疾い脚。その、右脚の複雑骨折。

一時は選手生命も危ぶまれたその怪我のセンセーショナルさは今も記憶に新しい。

その場所を、ただその一箇所を、あまりにもじぃと眺めていたせいか、ふと顔を上げたキミはそんなボクを見て呆れたように笑い、

 

「…そんなに見られちゃ、照れるぜ?」

「…あっ、」

「ンな見つめなくても、また()()()には戻るさ」

「そう、…そっか」

 

ボクにとって一番嬉しい言葉を言ってくれた。

ボクはキミの走る姿がいっとう好きだから、そう言ってくれてとても嬉しい。

 

「…、」

 

そう思っていると、不意にキミが言葉を止める。

どうしたの、と問うと「リーニュ・ドロワッドに出られないのが残念だ」と。

そういえば、もうそろそろそんな季節だったか。

リーニュ・ドロワッドはトレセン学園春の伝統行事であるダンスパーティーで、毎年さまざまな人物がダンスを披露する。のだが、キミはそんな人がたくさん集まる行事に参加する人だっただろうか。

ずっと眺めていたキミのいつもの行動を省みるとありえないと分かるそれに首を傾げる。

だがそんなボクにキミは、

 

「…僕は、キミと踊りたかったんだ█████████(×××××××××)

「…え?」

 

信じられないことを言う。

いやいやいや、キミの相手になるのなら、ほら!ミスターシービーとか、いるじゃないか!と言おうにも「…?そこまで仲良くない相手に僕が相手を頼める人間だとでも?」と悲しい言葉を返され。

 

「そのぶん、キミとは少しばかり関係があるからなぁ。

できれば頼もうかと思っていたのだけど、…このザマ。

残念で仕方ないよ」

 

…キミと踊りたい人はたくさんいると思うのだけど。

自己評価が低いのはキミの悪い癖だというか何と言うか…。

だがしかし、本当に残念そうに「リーニュ・ドロワッド、出たかったなぁ…」と洩らすキミにかあっ、と心臓と血流に熱がこもっていくのもまた事実。

 

「じゃ、じゃあ!」

「ん?」

「踊ろう、私と!」

「え?」

「あ…いや、今、じゃなくていい。

また、時間があった時でいいから…あの、その、」

 

熱の赴くままに声を出してしまい、しりすぼみ。

しどろもどろとするしかないボクにキミは、

 

「…あぁ、また。時間があった時に。

僕と踊ってくれるとありがたいな───"マイルの皇帝"殿?」

 

そう言ってゆるりと微笑んだのだった。





僕(ウマ娘のすがた):
ドロワにちょっと出てみたかったすがた(骨折で頓挫)。
マス太がいた世界ならマス太を誘…いやでも身長差がな…。
たぶんワルツ等ちゃんとした形(手を取って)踊るんだったら相手の上限は160cmくらいまで。
それ以上の身長になると会場全部を使って駆け回るタイプの踊りになる。
アップテンポの曲が好き。
今回は見送りとしているけど『ドロワに出ます!』って宣言したら水面下でのドンパチがドンパチ通り越して焦土と化してそう。
何巴になるんだ?この場合(産駒がいるかどうかで数は変動)。

【マイルの皇帝】:
同期兼阪神3歳Sで対戦経験あり。
ちゃんとこの子もこの子で僕に重めの感情を抱いている。
『一緒に踊りたかったな〜』されて心臓バクバク。
そのため『踊ろう、いっぱい踊ろう!』となった。
実は何気に僕からの好感度が高い(重感情を抱いているが表に出さないため)。
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