さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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気がついたら300話です、しゃいっ☆



何年経っても焼き付いて

「なぁ、84年の毎日王冠の勝ちウマって何だったけ?」

 

突然友人から問われたことに僕は首を傾げる。

 

「…84年って、ずいぶん前だなぁ。僕らが生まれるよりずっとずっと前じゃ」

「……そうか」

「…カツラギ?」

「いや、いいよ。気にしないでくれ」

 

84年は1984年のことだろう、たぶん。

だがそれにしても何故1984年(ソコ)なのか。

だって今は2()0()×()×()年なのだ。

僕らがまだこの世に生まれてもない、いうならギリギリ親が子どもだった時?ぐらいの時期の話をされてもサッパリである。

ましてはG1レースの勝ちウマでもなければテストに出てこないのだし。

そんなことを思いながら僕はいつものように快活に笑うカツラギエースと歩く。

 

カツラギエースは素敵なウマ娘だ。

優しくて明るくて、よくひとりでいる僕を人の輪に引っ張っていってくれるウマ。

僕みたいな冴えないウマに気さくに声をかけてくれるし、こうして一緒にお出かけしてくれるような優しい子でもある。

だけどひとつだけ不思議なことがあるんだよね……。

それは───、

 

 

「シルバーバレット!」

「えっ、あの…?」

 

入学式よりもずっと前。

入試の実技テストのために服を着替えていた折、痛いくらいに手首を掴まれた。

もちろんその相手はカツラギエースである。

がその時点での僕たちはハジメマシテも何もしていない。

ただ同じ時に受験した…というだけの関係であったはずだ。

それなのに彼女は僕の手を掴み、そのまま話を続けるではないか。

当然僕は慌てるしかないわけで。

しかし彼女は一切こちらを見ずにズンズン話を進めていくものだから、結局僕は彼女に言われるがままになってしまった。

 

()()()は負けちまったけど今度こそは負けやしねぇ。あたしはカツラギエース。ウマ娘たちのエースになる、カツラギエースだ!」

「は、はぁ…」

 

そして何が何だかわからないまま試験をこなし、結果発表があり、数奇な縁もあり彼女と同じクラスになった。

……どうしてこうなったのか未だにわからない。

そもそもなんでこんなにも好かれているかも謎である。

常識的に考えて僕なんかよりもっと魅力的な子はたくさん居るはずなんだけれどね……。

 

「…ホント、何でだろ」

 

 

あの日見た背が、焼き付いて離れない。

出走バの中でいちばん小さな背が、まるで「着いてこい」とでもいうように駆けていく。

誰よりも脚を回しているのに、決して他の誰にも抜かれることは無い。

まさしく王者(エース)の風格を見せつける走り方であり、その姿を見た瞬間に心を奪われたのだ。

 

「……カツラギ?」

 

それ以来ずっと、その背が頭から離れない。

授業中もトレーニング中も、ましてや───生まれ変わっても。

 

「……。いんや、何でもないぜ!」

「…そう?」





【三冠バキラー】:
カツラギエース。
史実では84年毎日王冠で僕とたった一度の対戦をした。
そして魅せられた。───それは、生まれ変わ(ウマ娘にな)っても焼き付くほどに。
普段は快活でカラッとしているがその実は…な模様。
それはそれとして、僕からの好感度は高めだったりする。
まぁ、激重感情ゆえに激詰してくるCB&皇帝と違って(表面上は)普通に接してくれるからね。役得役得。

僕:
シルバーバレット。今日も何も知らない。
クラスメイトである【三冠バキラー】と仲良くしているが、彼女からたびたび問われる質問にはいつも「?」状態。今は20××年なんだけどなぁ…。
CB&皇帝から向けられるあれやこれやを本能で察知して回避しているがある程度のパーセンテージに達しないと反応しないポンコツ危機察知能力なので…(ニッコリ)。これからも頑張って回避して♡(うちわフリフリ)
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