さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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完全なる趣味。
みんなが牽制しあうから平和だったんだよなァ。
漁夫の利…とも呼べないし出し抜いた…とも呼べない一幕。



狼煙

シルバーバレットは鈍感だ。

だけれども、変なところで勘がいい。

言うなれば『第六感』的なモノが。

それまでは直ぐに騙せる甘っちょろいヤツだと内心ほくそ笑んでいたところでまるで天が味方したかのように壊される計画…。

それが引き続きに引き続き、歯噛みしているウマを何度見たことだろう。

 

「カツラギ?」

 

そんなことを考えながら自分に声をかけるシルバーバレットに応対する。

ぼんやりとしながらも、こちらへの信頼を向けてくる目。

その目にどれだけの数が狂わされているのか、とんと見当がつかない。

 

「え?えっとねぇ…ミスターはいつも通りどこかに行ってるよ。で、ルドルフは生徒会の仕事が忙しいんだって」

 

にこり、と笑う顔は翳りなど何ひとつない。

顔の約半分を黒い眼帯で覆われた顔立ちでも分かるほどに無垢だった。

 

「そうか…」

 

目の前の存在が自分以外の名を呼ぶだけで、自分の中にドス黒くてドロリとした感情が生まれていくのを感じる。

たしかにお前はあのふたりに大事にされちゃあいる。

けど自分も、と。

 

「カツラギ?」

 

自分のことを、一ミリたりとも警戒していない眼差しに、ひくりと喉が引き攣った。

見える喉は早朝の雪景色のように疵などない。

華奢な体に見合った、その細い喉に。

己は…。

 

 

久しぶりにひとりの放課後を楽しんでいるとクラスメイトのカツラギ-カツラギエースに出会った。

それでいつものふたりはどうしたのかと聞かれたので探しているのだろうか?と思い、教えれば。

 

「い゛っ!?」

 

ガツンと頭が壁に当たり脳が揺れる。

壁に押さえつけられたのだと理解したころには、今度はまた別種の痛みが脳を支配して。

 

「な゛ッ!?ひぎ…っ、う、あ゛、ぁ……!?」

 

がぶりと。

無防備な喉に噛み付かれた。

それも甘噛みではなく、明らかに噛み破られて、血が出ているという勢いで。

 

「……ッ!」

 

獣のような荒々しい息遣いが自分の首筋から聞こえてきてゾワリとする。

 

「やめろ!!」

 

咄嵯に出た言葉と共に思い切り振り上げた拳が相手の顎に当たったらしく、一瞬だけ拘束されていた体が自由になった途端に床にへたり込む。

押さえた首筋からはドクリドクリと脈打つ音がして、指先に触れる生暖かい液体も感じられた。

 

(い、いったいぜんたい……?)

 

自分が知る限り、カツラギにはこんな暴力的な面はなかったはずだし、そもそもここまでの暴力を振るわれるほど何かしたワケではないはず…。

何がどうしてこうなったのか、分からないまま呆然としていると。

 

「なァ、シルバー」

 

床にへたり込む自分と視線を合わせるように。

にこりと、薄ら寒く笑んだカツラギが。

 

───アイツらだけじゃなくて、コッチも見ろよ。

 

そう言って、今度はまた逆側の首筋に牙を立てた。





【三冠バキラー】:
カツラギエース。
こっちを見ろの気持ちが爆発して皮が剥がれたすがた。
またの名を実力行使ともいう。
自分に多少なりとも怯える僕を見ても最早申し訳ない気持ちなどない。
逆に「アイツらはコイツのこんな顔知らないんだろうなぁ…」という優越感。
たぶんきっとメイビーで今回こうなってしまったが故にこの軸では僕の取り合いが過激化するんだよね…(白目)。
あの鈍感の僕も流石に分かってしまうくらいに…ウン。

僕:
シルバーバレット。
実質刃傷沙汰(物理)?
まさかのノーマークから与えられた口撃に目を白黒。
それで次の日、怪我を処置して登校したら周りに問い詰められるわ、でも本当のことは言えないわでしどろもどろ→みんなハイライトオフ&開戦に。
ちな開戦の狼煙をあげた当人の【三冠バキラー】は騒いでいる周りを見てニッコリしているものとする。
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