さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ヒコーキに乗るウッマ。


海外へ行こう

飛行機ってちょっと面倒臭いなと思った僕である。

人間時代の飛行機ってだいぶ進歩してたんだなとも。

飛行機の旅、といっても閉じ込められてるだけだしな。

 

『あっ、どうもどうも』

 

ご飯の時間になるとお世話してくれる人がご飯をくれる。

一人ぼっちで僕、ここに閉じ込められてるんだよな。

お世話役の人と会える時が唯一の安らぎというか。

 

『褒めてくれてありがとうございます』

 

僕は昔から少食だ。

リリィにも心配されてたし、厩舎の子たちにも、お世話してくれる人たちにも昔から心配されていた。

それで今回、いつもよりちょっと多めに食べられたため褒めてくれたのだ。

…まぁ、海外に行くってもんだし英気は養っておかないと。

 

 

初めての海外。

シルバーバレットもそうだが、僕だってそうだった。

シリウスシンボリの時のように少し乗せられて日本に帰るのかと思っていたのだけど、「お前が全部乗るんだぞ」と言われてビックリ仰天したのは記憶に新しい。

 

「えっ!?」

「なに惚けた顔してんだ。お前にしかバレットは扱えねぇよ」

「でっ、でも、僕なんかより」

「あいつがあんな訳わかんねぇレコード出したのはお前のお陰なんだから胸張れ!…それに、」

「それに?」

「あいつ、シルバーバレット。お前以外乗せたら全力で叩き落とすと思うぞ」

「…まさかぁ」

 

まさか、シルバーバレットがそんなことするわけない。

火傷の後遺症であまり見えていない左目の方から近づくと蹴ってくる可能性があるため危ないが、それ以外なら大人しくて、こっちにご飯を譲ってこようとするくらい優しい子なのに。

 

「ま、そういう訳でお前はシルバーバレットの騎手のままだ。

…気張っていけよ」

「…そんなプレッシャーかけないでくださいよ!」

 

 

どうも、僕です。海外についたよ。

 

『うむむむ…』

 

もし、もし…っとご飯を食べながら唸る。

場所によって水の味とかが違うって本当なんだなと思いつつ。

でも、出されたものを残すのはダメだよなぁと思って食べられるだけ食べている。

 

「やぁ、バレット」

 

ひと息ついていると騎手くんが来てくれた。

騎手くんも一応は元気そうだ。

 

「ご飯ちゃんと食べてるか?」

「ブルルっ(まあまあ)」

「僕も何とか食べてるけど…、やっぱりなんかそこまで美味しいとは思えないんだよね」

「ブルっ(そうだね)」

 

騎手くんがやって来てくれたので、鼻先で桶や水入れを押して『そっちにやっといて』と示す。

そうすると騎手くんは苦笑して「分かった分かった」とそれらを退けてくれた。




僕:海外遠征のために初めて飛行機に乗った。
帯同馬はいないが特段一頭でも大丈夫なタイプ。
ストレス耐性が結構高め。
食事の好みもそこまでないので出されたものは何でも食べる。
少食なのが玉に瑕だが、それ以外はお世話に苦労することがないウッマ。

実は意外と騎手くんのことに関しては気性が荒い。
騎手くんのことが大好きだから。相思相愛の関係。
騎手くん以外が自分に乗るとなったらその人間をコロす勢いで地面に叩きつけるのかもしれない。
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