さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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愛が深いだけです!!!!



【白猫】が言うには

あるところに、少女がいた。

光ひとつ通さない黒の髪を御簾(みす)のように伸ばし、そこから覗く肌はまるで造りもののように美しい──。

少女はその名を──ホワイトキティといった。

 

生まれながらの病弱。

立てば咳込み、座れば寝込み、歩く姿は幽体離脱もかくやと家の者共からささやかれ育てられた彼女は気づけば蝶よ花よと愛でられていた。

【狂血】とも謳われる一族、唯一の正常。埒外の存在。

そんな少女を家の者たちはせかせかと世話を焼いた。

もはや『呪い』と呼んでも過言ではない病弱さを持つ、その子どもを。

 

そして、変わらず寝込んでいた彼女の前に一人の少年が現れた。

病に伏せりがちな自分のことを不甲斐ないと思う日々の中で、ある日突然現れたその少年のことをはじめは戸惑ったものだ。

まずその格好。

元は美しい色味だったのだろう着物はどこか黒っぽく汚れていて。

また混凝土(コンクリート)色のボサボサの髪から覗く目はおぞましいほどギラギラと。

……"皮を被った獣"。

そう、思えたのだ。

 

しかし、少女がどうこうするよりも先に彼は口を開いて。

かけられたその声音は、とても優しく……。

 

──あぁ。…私、このヒトが好きだわ。

 

こうして。

ホワイトキティは、漠然と恋に堕ちた。

 

 

話は変わって。

ホワイトキティが病弱なのは、有名な話である。

だが彼女自身からしてみるとその認識は少し、違っていた。

 

『呪い』。

 

立てば咳き込むほどに。

床に身を落とせば突っ伏すしかできぬほどに。

動くことを、許されない体。

()()()()()()()才能があるというのに、動けない体…。

それこそが彼女にとっての呪いであり、天からすればそれが幸運であった。

もしも彼女が普通に生きられるような体質であれば──、いやそれも()()()()だ。

がしかし、

 

「キティ」

 

ホワイトキティには、それでよかった。

布団に横たわる自分のそばには今日も心配そうにする愛しい方。

誰よりも恐ろしく、誰よりも情に篤いウマが自分だけを見る。

それは──なんたる幸福だろう。

 

「……大丈夫?」

「えぇ、もちろんです」

「……ほんとう?無理してない?」

「ふふっ、本当ですよ?」

「そっか……」

 

ぎゅっと握られた手は暖かくて、抱き締められて届いた彼の匂いにひどく落ち着く。

だから、ホワイトキティはこれでいい。

だって自分がなにもできないただの人形で有り続ければ、彼がこうしてずっと私のことを考えてくれるから。

あぁ、なんて素晴らしいことだろう。

……でも、もし叶うならば、ひとつだけ願いたいことがある。

 

──どうか。

───この方にだけは手を出さないで。

────もし、出したのなら…。

 

地 獄 の 底 で も コ ロ し て や る か ら な ?





【白猫】:
ホワイトキティ。とても病弱。
だがその病弱は天から授けられたハンデな模様。
イメージ的には某鐚所有者になったお前のような病人がいるか系の姉ちゃん。
ハンデさえなければ【白の一族】っぷりを遺憾無く発揮するが本バとしては【先祖返り】さえいれば別にいい()ので…。
後に夫となる【先祖返り】にベタ惚れ。誰よりも恐ろしく情に篤い存在が自分だけを見て愛を注いでくれるのにメロメロになっている。一途()。

【先祖返り】:
ホワイトバック。【白猫】にベタ惚れ。どんな【白猫】でも好き。
【白の一族】当主であり、狂人(くるんちゅ)っぷりも もちのろんで群を抜いているウッマ。
でも懐に入れた相手にはめっぽう優しくなるのでよく周りの情緒をメタメタにしている。…う〜ん、さすがアレの祖父!
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