さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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先祖返りの独白。



白の独白

ホワイトバックという馬は生まれながらにして、その見た目にしか価値を見出されなかった。

彼を見出した人々にとっての"ホワイトバック"は、ただただずっと追い求めてきた原初の先祖返りでしかなかったのだから。

 

性格なんて何も考慮されない。

その、件の原初のようであれと子どもらしいやんちゃをしては()()()()日々。

そんな生活が嫌になって手を出したころにはもう、彼は人間がどういったものなのかを理解していたし、それが世間一般では普通ではないことも理解していた。

だからこそ、彼は己の身を粉にして仲間を守ることに決めたのである。

 

だって、ここにいるヤツらは何がどうあったってホワイトバックに最後の手を出せない。

ホワイトバックがホワイトバック(先祖返り)である限り、彼らは絶対に彼に危害を加えることができないのだ。

そうして、ホワイトバックはその日から、ぢっと人間たちを見定めるようになった。

 

噛みつかないようにと口籠を施された。

目が気持ち悪いと目隠しをされた。

だが生きとし生けるものである限り、気配というものが必ずあるものだ。

視界という脳のリソースの大部分を食う行為を封じられたホワイトバックはいつしか、その分気配に敏感となり。

仲間に"悪いこと"をしようとする人間の存在を察知しては、彼らに襲いかかって…。

 

いや、多少の年齢になればホワイトバックが守らずとも自己防衛できるとは理解している。

がしかし、…まだそういったことができない幼子は?

無力な子らは、一体誰が守るのか。

答えは明白だった。

 

(……あぁ)

 

そうだ、自分はきっとこのために生まれてきたのだ。

この場に生まれた以上、一生逃れられない運命から救えるものはできるだけ救わねば。

自分が傷つくことなぞ厭わない。

ただただ、目の前にいる弱者を守りたいだけなのだ。

 

(……)

 

壁にガンッ!と口籠を当てて壊し、慣れた足取りで自らの房から抜け出す。

そして、他の人間には気づかれないようにそろりそろりと移動を始める。

 

(……)

 

ここは、彼にとっては庭のような場所だ。

どこに何があるかなど知り尽くしていて当然のことだろう。

だからこそ、誰にもバレることなくこうして外に出ることができたのだが───。

 

「あっ、」

 

どうやら気を抜きすぎてしまっていたらしい。

気配のする方に近づくごとに、鼻につく臭気とぺしゃりと踏んだ水っぽさに顔を顰めないワケではなかったが。

目の前にいる存在が最近子ども相手に調子に乗っているやつだと気づいて。

 

───なァ。

 

「ヒッ…!」

 

あーそーぼ。





【白の先祖返り】:
ホワイトバック。とっても信頼されているみんなのボス。
目隠し口籠放牧無しで育てられた超弩級の気性ヤバ度EX+++。
でも頭がいいので自力脱出しては悪い相手をお仕置き♡する。
人々が望む存在の容貌と、よく似て生まれてきたためにたくさんの"躾"を受けて育った。
また仲間を守ろうとする意識が強く、その中でも子どもが苛まれているとキレにキレ散らかし手がつけられないようになるとか…?

仲間たち:
【白の先祖返り】ほどではないが躾を受けて育っている。
そのため正当防衛の威力が強く、結果的に相手の骨がヤられたなどの報告は日常茶飯事な出来事らしい。
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