さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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比翼連理で離れない。
こういう関係性…すち♡



中毒症状(病みつき)、なんだ。

まるで『化け猫』みたいだ。

そう思いながら哀れにも自分を愛してしまった愛おしい牝バを撫でる。

烏の濡れ羽色よりもずっと深い色をした髪に銀灰色の目。

スっと通った鼻筋に、ツっとつり上がった眦が何よりも蠱惑的で。

どうしようもない気高さと、そして美しさがそこにはあった。

 

「なァ……」

「なんだ?」

 

撫でる手を止めたからか、不機嫌そうな顔でこちらを見上げてくる喉をやわく指先で撫でる。

そろそろと、爪の跡すら残らないように気をつけて。

 

「…………なんでもない」

「変なヤツめ」

 

お前は俺のモノ。

そう言えたらどんなに楽だろうか?

けれど、その言葉を口にしてしまえばこの美しい生き物はきっと離れてしまうだろう。

 

だから俺は今日も何も言わずに触れるだけだ。

俺を守るために傷ついた、傷残る、手を、足を、顔を。

痕を、己の指の腹で、肉で、埋めるように。

何度も、何度でも。

 

「……あいしてる」

 

こんな汚い感情を知ってしまったならもう元には戻れない。

いつか来るであろう別れを恐れながらも、今はただ目の前にある温もりだけを感じていたくて。

 

(嗚呼、)

 

いつか、いつか。

この美しいバケモノに。

食われて、骨の髄まで、喰われて。

終われたのなら。

それは、なんて…。

 

(こうふく、な)

 

 

この世でただひとり。

自分を愛すると、神の御前で誓ってしまった哀れな牡バを見やる。

 

その言葉が冗談であったなら。

他の誰彼が漏らすような上っ面の言葉であったのなら。

離して、やれたというのに。

だのに。

あまりにも実直に、愚直に、己を求めてくるものだから。

『お前以外要らない』と、言うものだから。

……手放せなくなってしまったのだ。

 

己は、好物を誰にも取られぬように、一番はじめに食べるタイプであったはずなのに。

いっとう誰にも取られたくないと思っては、食べるのは惜しいと躊躇して。

どうか腐ってくれるなと、脇目もふらずに大切に世話をして。

私の『大切』を、傷つけてくれるなと吠えた。

吠えて、闘争して、傷ついて。

恐ろしい、獣になっていく。

それでもなお、私から離れない愚か者を見てしまってからは。

 

もう駄目だった。

どうしても、欲しくなって。

どうしても、手に入れたくなって。

どうしても…………傍に置きたく、なったんだ。

 

「……バカだよ、本当に」

 

そんなことさえ知らずに眠る、混じりっけなしの愛おしさを撫ぜながら。

私はまたひとつ、大きなため息をつき。

 

「もう、離せねぇぞ」

 

甘えベタな子どものように服の裾を掴む手を握りながら、ぽつり呟いた。

 





夫婦:
ヒカルイマイ&ホワイトリリィ。
お互いに「捕まって可愛そ…」と思っている関係性。
だがお互いもう手放せないくらいにはズブズブ。
底なし沼よりもズブズブ。
ふたりそろって、お互いの愛と献身に、もう…。
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