父である銀弾のことを自分を救ってくれた『カミサマ』だと半ば常識のように思っている【銀色のアイドル】の独白。
(僕だけのお父さん!)
ヒステリックな母から自分を助け出してくれた父を、シロガネハイセイコはそれはそれは慕っていた。
もはや信頼を越えて信仰ともいえるほどの情を抱きつつ。
「お父さん!」
「ん、なぁに?」
自分より少しだけ大きい体で抱き上げて、頬擦りしてくれるのも。
強請ると膝に乗せて頭を撫でてくれるのも。
おやつのクッキーを分け与えてくれたり、一緒に遊んでくれたりするのも。
全部嬉しくてたまらなかったのだ。
(だいすき!)
そしてそんな父と一緒にいる時間が、何よりも大好きだった。
けれど、
「新しいきょうだいだよ。仲良くしてあげてね」
父に撫でられている自分と同い年の子どもに。
または自分よりも幼い子どもたちが父を独占する姿に。
シロガネハイセイコは気が狂いそうなほどの嫉妬を覚えた。
───どうして?ぼくのおとうさんなのに!!
───なんでおまえたちがそこにすわるんだ!?
そこはぼくの場所だぞ!!!
そう叫び出したくて仕方がなかった。
しかし同時に理解していた。
いちばんはじめに引き取られた、長子に据えられた自分が父の愛情を独占してはいけないことを。
だから必死になって我慢した。
でも心の中では叫んでいた。
どうしてアイツばかり構うのかと。
どうして自分はひとりぼっちなのかと。
ずっとずっと泣き続けていた。
その感情はいつしか呪いとなり、ハイセイコの心を蝕み始めた。
それは、
『どうしてどうしてどうして!!』
『私はこんなにもあなたを愛しているのにィィィィ!!!!』
かつて見た、今では顔も思い出すことができない世界一大っ嫌いな彼の母の姿に…。
*
シルバーバレットがその子どもをいの一番に引き取ったのは、その子どもの母がヤバいと耳に入ったからだった。
いうなればヒステリック。
引く手数多の自分にはたったひとりを愛することはできない、と事前に書類をつけてまで言い含めていたというのに。
「とぉさま」
「なぁに」
そんなことを一瞬思い出して、すぐに現実へ意識を戻す。
腕の中にはあの日引き取った子ども-シロガネハイセイコがぴっとりと引っ付き、全身で甘えてきていた。
普段はしっかり者の子どもだがこうして二人きりになると途端に幼くなる。
それが可愛らしくもあり、危なげでもあった。
「ねぇねぇ、もっとぎゅってして」
「はいはい……」
こうなるともう手がつけられない。
シルバーバレットは要望通りに抱きしめる力を強くする。
昔から聡い子だと思う。
人の顔色を窺うのが上手い、というよりもそうしなければ生きていけなかったというべきか。
「とぉさま、だぁいすき…」
「うん、父さんも好きだよ」
【銀色のアイドル】:
シロガネハイセイコ。
銀弾のことを愛し過ぎて狂った母の元で育った過去を持つ。
ふとしたことでヒステリックのスイッチが入る母親の顔色を見て過ごす日々を送っていたので人の機微に敏感。負の感情なら倍ドンで敏感になる。
また自分を救ってくれた銀弾を慕っているがその姿が年を経るごとに、(感情を抑えてるとはいえ)かつての自身の母とそっくりになっていっているとは露ほども思っていない。
たぶん気づいたらSANチェックになる。かわいそ。
父:
シルバーバレット。
えげつないくらいのラブコールが今でもある。
その中でも【銀色のアイドル】の母は断トツだったらしい。
ちなメンヘラ・ヤンデレの相手が上手かったりする。
ヤバかったらヤバかったで神回避できるからね。
でも、魅了因子は抑えられないから…(白目)。