さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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きっと、『運命』だったの。



どこまでも、いつまでも

当の本人たちは知らぬことですが。

ホワイトインセインとホワイトノーマルは()()()()でありました。

けれど双子は忌むべきものでありましたから互いに互いが己の片割れだと知らぬまま二人はそれぞれ育ち、そしてある日突然にその運命が交わったのです。

 

「だぁれ?」

「お前こそ、ダレ」

 

『普通』の子であったホワイトノーマルはごくありふれた幸せな生活を送り。

『狂気』の子であったホワイトインセインは物心ついた時から座敷牢にいて。

それが本来なら会うべきでは、会うこともない()()()()()ふたりが出会った瞬間でした。

 

「ぼくねぇ、ノーマルって言うんだ。ホワイトノーマル!」

「へェ…。おれはインセイン。ホワイトインセイン」

 

誰もが寝静まった夜が、ふたりだけの時間で。

家のみんなにバレないようにこっそり隠れて会っていたふたりにとって、それは心底幸せな時間だったのです。

 

「ねーえ、きみは何歳なの? どうしてここにいるの?」

「さァ……? 忘れちまったよそんなの。ここじゃあ時間なんてあってないようなモンだしなァ……」

「ふぅん……そっか!ね、明日もお話してくれる?」

「ハハッ、そりゃあお前次第だよノーマル」

 

そうして毎日のように交流を持っていたふたりを周りは気付かぬフリ。

会わせるべきではない、と分かっていながらもかつて双子であったふたりを引き裂いた負い目があってか誰も何も言えなかったのです。

 

そんなある日のこと。

いつものように座敷牢で柵越しに向かい合うように過ごしていたふたり。

ですが。

 

「外に行かない?いーちゃん」

「は、」

「鍵ならここにあるから」

「ちょ、ちょっと待てよ」

「やっぱり可笑しいよ。いーちゃんはやさしい人なのに」

 

ホワイトノーマルの手の中には小さな鍵。

誰よりも『普通』な友人が、突如として行おうとしている暴挙にホワイトインセインはひどく動揺します。

だって、外の世界は危険だと。

幼いころから言い含められ、閉じ込められて育てられていたというのに。

外に出たいとも思わず、いや思うことすら()()()()()()()のに。

 

「怒られるなら、一緒に怒られるから」

 

お前は。

ホワイトノーマル(お前)だけは。

ホワイトインセイン()が、外に───。

 

「……分かったよ。行こう」

 

ならば、その望みに従おうと。

たとえそれで何が起きようとも後悔はないと思いました。

……いえ、本当は怖かったのでしょう。

けれどもそれ以上に。

ふたり、真に共に有れる歓びと興奮は。

 

「さぁ、外はキミが思う以上に面白いと思うよ」

「…そうかい」





【白の狂気】:
ホワイトインセイン。
白の一族の出しちゃいけない枠(だった)。
双子の兄の方。
ホワイトバックの父。

このまま座敷牢で生きて終わるのかな、と思っていたところに突如としてやって来たホワイトノーマル(おとうと)と交流を持っては救われる。
後にホワイトノーマルのことを『凡』と呼び始めるようになるが最初から最期まで自分たちが双子の兄弟だとは知らないまま…。

【『普通』の白】:
ホワイトノーマル。
『普通』に育てられていた。
双子の弟の方。
ホワイトキティの父。

ある日何となくで訪れた先の座敷牢で出会ったホワイトインセイン(あに)と交流を持つようになる。
ホワイトインセインのことを双子の兄と最初から最期まで知る由もないまま深く慕う。
なお『普通』ではあるのだが、その『普通』は某らっきょの某コクトー並の『普通』である。
何があっても、揺らがないタイプの…ね?
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