さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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主人公の大百科を書くに当たって元になったかもしれない雑誌の記事。
大百科より少しばかり詳しく書かれている模様。


とある雑誌の記事

後世、シルバーバレットという競走馬を語るにおいて、よく言われるのはスピードの花形としてのspeedstarと原義である高速運転者、スピード違反者という意味のspeedsterを絡ませた『Mr.スピードスター』やら誰も彼もを置き去りにし、追うことすら許さない勝ちっぷりから『最速の蹂躙者』というあだ名であったが共通して一番言われているのはこのような言葉だった。

 

─────あの馬にあるのはバケモノじみたスタミナと、悪魔じみたスピードだ、と。

 

 

後世においてシルバーバレットという馬が恵まれた生まれではなかったというのは周知の事実である。

シルバーバレットは1980年6月25日、生産馬が1勝できれば万々歳とでもいうような零細牧場に生を受けた。

そんな彼は競走馬になる前に殺処分されそうになったことがある。

 

彼の母親であるホワイトリリィは大変気性の荒い馬であったが、自らの子であるシルバーバレットには優しかった。

そのためホワイトリリィにバレないように牧場の人間はシルバーバレットを引き渡そうとしたのだが、母の愛というべきか、ホワイトリリィは引き渡されそうになっていたシルバーバレットを見つけ怒髪天をつく勢いで周りにいた牧場の人間に襲いかかった。あわや大惨事となったところをシルバーバレットの馬主となった**氏が彼ら母子を買い取ったことで事態を終息させた。

 

さて、今となっては有名な馬主となった**氏だが、実は驚くことにシルバーバレットが初めての所有馬であった。

**氏曰く、**氏本人も初めシルバーバレットにはそこまで期待を持てていなかったようだ。

初めての持ち馬であったのもそうだが、馬というもののイメージから見てシルバーバレットは酷く小さかったようで、その小ささは「買ったはええけどコイツ、走るんかな」と思ったほどだったという。

 

だが、シルバーバレットはそんな**氏の予想を裏切り、快進撃を始めた。

その時点でベテラン騎手であった白峰透騎手を背に、持ったまま大差で新馬戦を勝利すると、OP戦を挟み阪神3歳ステークスを快勝。

その出走馬の中に後の"マイルの皇帝"ニホンピロウイナーがいたのは有名な話だろう。

 

3戦3勝、その全てが持ったままという勝ちっぷりから一気にクラッシック候補へと躍り出たシルバーバレットだったがそんな彼に不幸が降りかかった。

××厩舎の火事である。シルバーバレットは自身の馬房が入口付近であったことも相まり、自力で脱出を果たしたが厩舎にいたほぼ全ての馬が死亡する大惨事となり、生き残ったシルバーバレットも顔に負った火傷のため春のクラッシックを全休となる運びに。

 

そして、同世代のミスターシービーが二冠を達成し、シンザン以来の三冠馬かと期待されている裏でシルバーバレットは毎日王冠へと出走した。

初めての古馬相手であったが相も変わらない逃げ切り勝ちで制し、4歳以上のレースを2戦制したあと、シルバーバレットの活躍は1984年の東京新聞杯へと続くのである…。




僕:確実に生産牧場の脳を焼いているウッマ。
厩舎の火事にてほぼ全ての仲間を喪っている。
数少ない生き残りも僕以外はそう時間が経たない内に引退している。
本当に、厩舎唯一の生き残りになっていた。
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