さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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恨み骨髄、恨み節。
そんな"誰か"に。

───蜘蛛の糸は、垂れるでしょうか?



糸は垂れない

「はい、はい」

 

暗いというか、固い。

そんな親友の声をサンデーサイレンスが聞いたのはある深夜のこと。

横を見るとぼんやりと光る携帯のディスプレイに横顔を照らされながら電話している小柄な背。

…電話がかかってくるには、随分と非常識な時間だというのに。

 

「……あぁ、はい……はい……」

 

時折相槌を打ちながらも、ずっと何かを話している。

その様子からして、どうやら相手は目上らしいということぐらいしか分からない。

ただ、何気なく聞いているだけでも会話の内容は…物騒、極まりないものだった。

 

「それは、責任転嫁ですよ」

 

聞こえてくるのは、何を言っているか分からないまでもひどく感情が昂っていると分かる喚き声。

それに淡々と、色なく、感情なく答える背はどこか()()()()

 

「えぇ、そうです。僕はもう()()()()()のモノでも何でもありませんよ。だからなんですか?それが?」

 

そしてまた始まる話し合い。

それを聞いていて、サンデーサイレンスは何となく勘づく。

 

(あ、これ話してる相手…)

 

冷たく、詰める。

いつもの親友とは、思えない声音で。

 

「僕があなたたちに協力する義務も義理ももうないんですよ。だって、あなたたちが」

 

ぼくを、()()()んですから。

 

「……えぇ、はい、ではそういうことですので」

 

───ぶつり。

 

 

こうやって、電話がかかってくるようになったのはいつだったか。

変化もなく、堂々巡りの電話に嫌気がさすこともできずにいま何年目?

律儀に電話を取りながら、僕にかかってくるのは他の家族だったら問答無用で電話を切られるからなんだろうなぁ、とも。

それでも、こうして電話を取ってしまうあたり…甘いんだろうなぁ、僕……。

 

「お久しぶりですね。どうかしましたか?」

 

わぁわぁと喚き声。

まるで見るに耐えないような低予算ホラー映画のごとく。

少しぐらいBGM下げろよと文句を言いたいくらいに。

 

───お前のせいで!全部台無しになった!

 

…まーた始まった。

本当に、相変わらず人の話を聞かないんだ。

それに僕のせいと言われても。

そもそも、あの時、あの瞬間まで僕は何も知らなかったってのに。

 

「……あぁ、はいはい。それで?」

 

うんざりする気持ちを抑えつつ、相槌を打つ。

こんなもの、聞き流しとけば終わるけども。

…どうしてこうも毎回毎回同じことを言われ続けないといけないのか。

 

「…聞き飽きてんだよ、全部全部」

 

そう、思わず呟いてしまった言葉に、次から次へと矢継ぎ早に叫ばれる───。

 

「では、そろそろ切りますね」

 

…ぶつり。





許せ、許せと言われようが。
弁もなくば責任転嫁。
因果応報、七転八倒。

───許されれば、いいですね。

…僕じゃない"誰か"に、ね。

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