さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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着々と最後に突き進んでおります。
…8月中に本編は完結するなぁ、コレ。


フランスにて

キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスを勝利したあと、シルバーバレットはフランスへと移動した。

最初はあれほど舐められていたのに、移動することになったらお世話になっていた厩舎の現地馬たちにシルバーバレットが引き止められていたのには思わず笑ってしまった。

それを僕たち人間が阻害して何とかシルバーバレットを移動させることができたのだ。

 

フランスにて出るレースはムーラン・ド・ロンシャン賞と大本命である凱旋門賞だ。

ムーラン・ド・ロンシャン賞は1600m、凱旋門賞は2400mと少しばかり距離の差があるかもしれないが、シルバーバレットにとっては特段違いもない距離だろう。

 

「…楽しみかい?」

「ブルっ!」

 

調教後、僕を背に乗せて歩いているシルバーバレットは機嫌がいい。

しかしその瞳はギラギラとした炎を称えていて。

 

「まぁ、キミが勝てなきゃ誰が勝てるんだって話だよな」

「…フヒン?」

 

 

僕だよ。また別の場所に移動したんだ。

まさか、あの子たちに引き止められるとは思わなかったよ。

最後まで言葉が分からなかったけど、僕との別れを惜しんでくれていることは確かに分かった。

でもお世話してくれる人たちに迷惑はかけちゃ駄目だよ。

何とか厩舎のスタッフっぽい人が僕を引き止めようとした子たちを抑えてくれたからよかったものの…。

 

「楽しみかい?」

 

そんなことを考えていると騎手くんが声をかけてくれる。

海外に来た時は騎手くん以外の人が僕に乗るかもしれない!と焦ってみたこともあったがそんなことはなく…。

その事実に安心しながらも、もし騎手くん以外の人が僕に乗ってたら死ぬ気で地面に叩き落としていただろうなとも。

僕の上に乗っていいのは騎手くんだけなのである。

 

僕の上で騎手くんがつぶやく言葉にニヤリとする。

僕が勝てなきゃ誰が勝つ。

そんなことを言われるまで期待されているのにどうしようもなく心が熱くなる。

……嗚呼、早く走りたいな。

 

 

ムーラン・ド・ロンシャン賞はフランス・パリロンシャン競馬場にて芝1600mで行われる平地G1競走である。

ジャック・ル・マロワ賞と並ぶフランスのマイル路線の最高峰レースである。

 

このレースはマイル戦であるためスピードを求められるのはもちろん、ジャック・ル・マロワ賞とは違い高低差のあるレースであるため、高低差を乗り越えるためのパワーとスタミナも必要とされる。

 

1986年にシルバーバレットの同期であるギャロップダイナが走ったレースでもあるが、

 

「いつも通りでな」

「ブルっ(おうさ)」

 

そんなことを知らないシルバーバレットはただ目の前の走るべきレースに集中を向けているのだった。




僕:フランスに着いた。
凱旋門賞の前哨戦としてムーラン・ド・ロンシャン賞に出走。
…しかし、何かしらがあるようで?
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