さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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前話の続き。
公式が最大手()って感じになっちゃった生放送弁明回。
またの名を『黒薔薇を999本贈った女VS...?』って話。



花を贈れば

たっぷりと薔薇を使ったアイスを盛り、チマチマとキッチンで食べていると配信の準備を終えた友人に呼ばれた。

 

「…おいで、スク」

ふぁんで(なんで)?」

「何でも」

 

その目付きが、あまりにも有無を言わせないものだったから一気に食べたことで頭がキーンとしつつも空になった食器を水につける。

ぺたり、と床に座せば配信は始まっていて。

 

「スク」

「ん」

 

"スク"

いつもは、"スー"と呼ぶはずの友人がそう呼ぶ時は真面目な時だ。

それが何だか居心地悪くて、スっと離れようとすればグイ、と腰を抱かれ。

 

「ダメだよ」

「…、」

 

弱い耳をモニモニと揉まれて。

たまらず「逃げないから」とジェスチャーすると、ようやく。

 

「いい子」

 

それから、話は始まった。

議題は、この前僕が彼女に贈ったもののこと。

 

「僕、傷ついたんだぜ?」

 

配信に映る画角、真ん中に、ドンと置かれた鉢。

そこに咲く花は───。

 

"スノードロップ"、なんて」

「待って、誤解だ。弁明させてくれ」

 

たしかに。

僕はこの前彼女に花を贈った。

それは間違いない。

だが他意はない。

あるのは。

 

「そ、そりゃあ『あなたの死を望みます』っていう意味がある花ってのは知ってるし、」

「うん」

「その意味があるからこそ贈った花だけど!」

「」

「だって!!」

 

思考がぐちゃぐちゃになる。

笑えるくらい焦っている、混乱している。

 

「キミの"終わり"は…」

 

───僕がいい、から。

 

「"グローリーゴア(キミ)"というアスリートに終止符を打つのは"サンデースクラッパ(ぼく)"でありたくて…。いや、"サンデースクラッパ(ぼく)"じゃなきゃダメで」

「ホントはダメだけど!不謹慎なことだけど…!」

 

「僕、キミのこと看取りたくて」

 

「あわよくば喪主になりたくて!」

 

脳みそグルグルなる〜!

混乱しすぎて心の内では思ってることだけど、流石に言うべきではないよな…と抑えていたことすべて吐き出しているような心地。

 

「だってキミひとりにするとどうなるか分からないから!」

「なら全部僕が責任持った方がって!大丈夫!毎日会いに行って毎日掃除して帰るから!!だから安心して!!!」

 

………………。

………………………………?

あれ?なんかおかしいぞ?

自分でも何を言ってたのか分からなくなってきたけど、とりあえず言うべきことは言った気がする。

さっきまで慌ただしく動いていた心臓など諸々は落ち着きを取り戻していて、むしろ今はスっと熱が過ぎたみたい。

…とはいえ。

 

「……グローリー?」

「…」

「ちょっと抱き締める力抑えて…いてててて」





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
これぞ一族の血。
ほら見て!一族のみんなもそうだそうだと頷いているよ!!
"さいしょ"は知れないから、せめて"さいご"を知りたい。
キミの、『今生』が欲しいの。
…まぁ『今生』だけなんでまだマシでは?(相対的に見て)
がしかし、こんなこと言っても逃げる、または逃げ切れるつもりでいるんだにゃあ…(白目)

【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
一時ショックを受けたが直ぐにニッコリ。
『今生』が欲しいなんて【戦う者】は控えめだなぁ(にっこり)。
僕は『今生』だけじゃなく、"ずっと"をあげるっていうのに。
…けれど。
その代わり、キミも、"ずっと"をちょうだい。

追い込むのは、まだ我慢してあげるから。…ね?
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