はか。
「ね、おじいちゃん」
「んー?」
「"お墓参り"とかって、行かないの?」
「…いきなりどうしたんだい?」
「だって、普通のおうちは行くものなんでしょう?」
こてり、と首を傾げ、そう告げた孫にホワイトバックは曖昧な笑みを見せる。
そんな祖父の反応が不思議だったのか、子どもはさらに質問を続けた。
「ねぇ、どうして? お盆はちゃんとやってるのに」
「……まぁ、普通ならお墓参り、するだろうけどネ」
「じゃあ行こうよ! 僕行ってみたい!」
「うぅむ…」
渋るのには、理由がある。
それは───この一族の埋葬方法にあった。
遠き日の初代様が何やら不思議なチカラを持っていた故に何処ぞのミイラが漢方薬になる〜みたいな事と同じことに過去なりかけたことがあったらしく。
それ以外にも、一族郎党他人に執着されやすいタチであったために盗難…などと(ちゃんと取り返したが)。
結果、
(ウチ、基本この土地に埋めるんだよナ〜…)
誰にも、盗られぬように。
誰にも、奪われないように。
自分たちが住む場所の地に埋める。
…………で、あるからして。
墓など建てても意味がないのだ。
だってそこには、何も埋まっていないのだし。
家そのものが、墓と言っても過言ではないのだから。
なので。
「へー、そうなんだ」
「そうナノ」
ぼかすところはぼかして伝えて。
歳以上に利口な子だから『そういうこともあるよね』と納得してくれたらしい。
「じゃあ家にいる=お墓参り…みたいな感じってこと?」
「そゆコト」
「ふぅん……なんか変なの」
「そうだネ〜」
そう言いながら小さな体を抱っこして、仏壇に向かう。
よくある、普通の仏壇だ。
…まぁ見かけが普通なだけで値段はヤバめなのだけれど。
「はい、これお菓子」
「いいの?」
「ん」
仏壇に手を合わせてからふたりでピリピリ袋を開けて供え物になっていた饅頭を食べる。
「美味しいかい?」
「んー」
ニコニコ笑顔の孫を見て、祖父もまた微笑んでみせ。
「おじいちゃん」
「なんだ?」
「このおまんじゅう、好き」
「そう。…リリィにお願いしようか?」
「やった!」
無邪気に喜ぶ孫の頭を撫でつつ。
ホワイトバックは考える。
かつての、自分の妻のこと。
彼女は、若くして儚くなった。
そんな彼女を自分はこんなに年老いた今も想い続けているわけだが。
(…あの子だけは、埋めれなかったんだよな)
粉にも、できず。
大事な娘にも、孫にも秘密にした場所で。
自分だけが、知る場所で。
祈る。
あの子を見ていいのは、
(ぼくだけ、だもの)
たぶん史実のせーさん牧場さんとやらはろくすっぽ供養塔とか墓とか建てず。
まさに骨も残らぬパパママよ、という感じで。
だから、せーさん牧場さんがなくなり、残った土地を再利用しようとしても決まった場所に埋められてないもんだから地雷みたいに…。
しかもみんながみんな恨みつらみを持っているので…。
土地自体が、呪われてるんだ。