さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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堆積するなら、如何ほどか。



底なしの底

「…なぁ、バレット」

「なーにー?」

「お前って気性が悪くて目つきの悪いヤツが好みなのか」

「おっ、自己紹介か?」

 

ポケ〜っとふたりして寛いでいたサンデーサイレンスとシルバーバレット(inサンデーサイレンス宅)。

子どもたちも全員何かしらで出払っている家の中で、リビングのソファにてのんびりとくつろいでいると……ふいにサンデーサイレンスが口を開いた。

そして、そんなことを言ったのだ。

もちろん、それは質問ではない。

ただの確認だった。

だが、その確認は、シルバーバレットにとってあまりにも唐突すぎ。

 

「…いやいや。ないないないない」

「つってもよー、お前目で追ってたじゃねぇか」

「なにを?」

「あ〜…、あの、何だっけ?【弾丸シュート】とか何とかいう…」

「えっ、ちょっ、エッッッ!?」

「おぉ、なんだ?急に大声出すんじゃねぇよ。びっくりするだろうが」

「アッ、ごめんね……!でも、いや、でもさ、ちょっと待ってね。えぇっと……うぅん?……うーん?えっ、マジで?」

「マジだよ」

「えぇ〜……?」

 

困惑したような顔でシルバーバレットが顔を向ける。

するとそこには、いつの間に近づいていたのか、サンデーサイレンスがいて……。

ジトッとした瞳で見つめていた。

そう、疑いようのないほどに、疑っていた。

まるで、ある種の修羅場を目撃したかのように。

 

「あぁ…、元から()()なのは分かってたさ」

「えっ、なんのこと?何を言ってるの?」

「だけどよー、お前、まだガキだからさぁ。俺としちゃあ、そこんところはまだ早いと思ってんだよ」

「いやだから何の話をしてるんだ?」

「だってそうだろ。お前、今年始まって何人引っ掛けた?」

「引っ掛けたとは失敬な!」

 

思わず立ち上がって抗議をするシルバーバレット。

だが、それに対してサンデーサイレンスはどこ吹く風である。

まるで話を聞いていない。

それどころか、むしろ呆れたようにため息を吐き。

話を続ける。

 

「オメーの妹も中々だがやっぱオメーがいちばんヤベェ」

「誰の妹がヤバいって????」

「おわ。…ほら落ち着け」

「ん…」

 

ムスッと、如何にも「不満です!」という顔をした友人をサンデーサイレンスは横目で見る。

友人-シルバーバレット。

左顔面に焼き付いた火傷跡を除けば、どこにでもいそうな童顔の顔立ちをしたウマ。

だがその実、その在り方はかなり特殊である。

端的に言うなれば、───あまりにも他人を()()()()過ぎる。

呼吸をするかのように手軽に、当たり前に。

まるで蜘蛛か、蟻地獄かのごとく。

吸い寄せられるように他人が集まり、そして囚われていく。

しかしまたすぐに新しい他人が引き寄せられる。

その繰り返し。

まさに吸引機。

もしくはブラックホール。

それに、サンデーサイレンスは気がついていた。

そして、だからこその心配であった。

もしもシルバーバレットが、勘違いでもした誰かと刃傷沙汰になった場合、

 

(俺は…その相手に何をするか、()()()()())

 

それは、自分の中に眠る狂気の業か。

はたまた単なる獣性なのか。

それとも……、

 

(……クソったれ。こりゃあマジで早いとこどうにかしねぇとな)

 

頭をガリガリと掻きながら思う。

けれども、

 

「サンデーが心配しなくても何もないって!」

 

シルバーバレット(張本バ)はまったく、何にも、気づいておらず…。





僕:
シルバーバレット。何にも気づいていない。
気性が悪くて目つきの悪いウマを目で追うクセがある。
自覚が無い+倫理がしっかり+運がいいことですべてを相殺しているらしい。

SS:
僕のマブダチ。
僕の危うさにモヤッとしていたりする。
意外と裏でいろいろ頑張っているかも…?
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