ずっと、僕のことだけ考えてよ。
夢でも、現実でも。…ね?
ふと、夢を見た。
夢の中で俺は、牛っぽい、でもそれよりは細身の四足歩行の生物と相対している。
特段何をするワケでもなく、静かに、しかし目を逸らしてはダメだと思いながら。
何故その夢を見るのか、詳しいことは知れない。
ただ、『彼』-そう、何故か俺は件の生物のことを『彼』だと半ば無意識に理解している-と向き合うことを求められていると感じていた。
だから、ただひたすらに『彼』と目を合わせることに徹した。
そして、どれくらいの時間が流れた頃だろうか?
不意に『彼』の方から視線を外し、どこかへと歩み去っていったのだ。
それに慌てて「待て!」と追う俺だったが、
───…プ、チャンプ!!
自身を呼ぶ声に寝ぼけ眼で目を覚ます。
寝起きの直ぐでろくに働かぬ頭で周りを見回せば、あったのは遠に夕暮れになった教室とこの時間になってまでも自分のことを待っていたらしい級友-エルコンドルパサーの姿が。
「やっと起きたんデスね!もう、何度呼びかけても起きないので心配しましたよ?」
「……あぁ、悪いな」
少しばかり不機嫌そうな友人に謝罪しながら身体を起こす。
……どうやら、随分と眠ってしまっていたようだ。
まぁ、最近色々と忙しかったしナ。
だから俺のトレーナーもオフを言い渡して来てるんだし。
…にしても。
「なんでお前がここにいるんだ?」
「えぇ!?今更デスか!?」
心底驚いたように叫ぶ友人だが、いやまぁそりゃそうだろ。
だってこの時間ならもうトレーニング終わってさっさと寮に戻ってんのが普通だ。
…なのに何で。
言外に、目線でそう問うと先程までの
「ふたりきりになりたかった…って言ったら、キミは僕を軽蔑するかい?」
「…思考が突飛だな」
「ははは」
俺は、"パサー"の時のエルコンドルパサーが苦手だ。
いつもの騒がしいヤツも、まぁアレだがこっちの方がより厄介というか面倒くさいと言うべきか。
ともかく、普段とのギャップがあり過ぎて対応に困るというか、調子狂わされるというか。
そんなことを考えているうちにいつの間にか距離を詰められていたらしく、「ねぇ、ちょっと聞いてる?」と耳元で囁かれた。
「…ッ!?!?」
「あれ…?耳、弱いんだね」
ニヤリとした笑みを浮かべたコイツの顔を見てようやく気づいたのだが、どうにも今の今までずっとエルコンドルパサーのペースに乗せられていたらしい。
などと、察してしまえば。
「……帰るぞ」
「うん♪」
にしても。
…あれ?
俺、さっきまで。
なんの夢、見てたっけ…?
あなたは、だぁれ?