さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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…あぁ、アイツ?
うん、強いウマだったよな。
語られるのはもっぱらあの有馬記念だけどさ。
俺が思うにアイツがいちばん強くて、それでいて
()()()()のは───、

それは、まさしく。

世界に対して。

…いいや、()()()に対しての───、




()()のラン

その電話がきたのは、菊花賞からそう日が経っていない時のこと。

 

「はい、シルバーバレットです」

『…、』

「あの…?もしもし?」

『…父さん』

「…ハイセイコ?」

 

電話の主は息子であるシロガネハイセイコだった。

だが電話越しに聞こえた声は嫌に弱弱しい。

もしかして怪我か?と不安に思い「何があった?」と問うも返ってきたのは、

 

『ぼくは…』

「ハイセイコ?ねぇ、ハイセイコ!?」

『とうさんの、むすこ、だから…』

 

ただそれだけ。

それだけを言ってガチャンと切れた電話に僕は何も出来ず立ち尽くした(…あのころは携帯もまだそこまで普及してない時だったしね)。

 

「…」

 

閑話休題。

その年の牡バクラシック戦線には僕の息子がふたりいた。

ひとりは皐月賞・日本ダービーを獲り二冠バとなったシロガネハイセイコ。

もうひとりは菊花賞バのシロガネヒーローだ。

走れなかった僕が言うのも何だがクラシック戦線というのは過酷なものだと思う。

それもこの年のクラシック最終戦(菊花賞)は死力を尽くしたものだったのだし。

だが、

 

二冠バ・シロガネハイセイコ、

ジャパンカップ参戦!!

 

そう告げる新聞をちらりと見てたたむ。

牡バクラシック全戦に出走していたふたり。

しかしシロガネヒーローの方は菊花賞の疲労によって今年は休養と。

…それを思うとシロガネハイセイコの方も、と思っても不思議じゃないだろう。

がしかし、

 

 

負けた。

はじめて、負けた。

誰もが気にしないでいいと言ったけれど、僕が、僕を許せないから。

 

(…ぼくは、とうさんのこども)

 

あの日。

自分を差し切った影に、お前だけが『特別』じゃないのだと分からされた。

 

「……」

 

だから。

だから、『証明』を。

 

「ほら、早く行けよ」

「お前だってそうだろ!」

「な、なんだアイツ…」

 

ワァワァと何かがざわめいているのがひどくうっとおしい。

そのざわめきに喉で低く唸れば、次々とゲートに入っていくウマの群れ。

 

「…はぁ、」

 

ゲートの開く音。

そこをガッ、と飛び出して進む。

走り方は、もはや見慣れすぎて実況の言葉を覚えてしまった父を模したもの。

いつもの先行策とはまた違った走りに息の上がりが早いが、問題はない。

 

(…あはは)

 

 

父さん父さん父さん父さん父さん…

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛してる
愛してる

愛してる
愛してる

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

Lv.ERROR ERROR ERRRRRR...

 

 

後ろから、必死に駆けてくる音がする。

しかし、引きちぎる。

でも。

それでも。

 

『やはり府中は庭なのか?!

ダービーに引き続き、あのウマがまたやって来たぞ!』

『先頭はただ一頭。

先頭はただ一頭!

先頭はただ一頭!!

 

シロガネハイセイコ〜ッ!!!!

 

これが二冠バか、それとも血の意地か!?』

『シロガネハイセイコ、()()のランッッ!!』

 

ジャパンカップ【G1】 1996/11/24
着順馬番馬名タイム着差
5シロガネハイセイコ2:22.0 
14シングスピール2:23.8大差
4ファビラスラフイン2:23.8ハナ
1ストラテジック

チョイス

2:24.01.1/4
9エリシオ2:24.0同着

 

シルバーバレット(あの人)には。

 

「届かなかった、かぁ……」

 

 





───そこに宿るは、『鬼』か『魔』か。

【銀色のアイドル】:
主な勝ち鞍
皐月賞、日本ダービー、ジャパンカップ(1996年度)
KGVI & QES、有馬記念(1997年度)

父シルバーバレット母父ハイセイコーの牡馬。
主戦騎手は白峰透。96有馬は休養したため未出走。
適性は芝AダG。短GマC中A長B。逃B先A差F追F。
最適性は父と同じく芝2400m。
…とはいうものの、2500mまでなら何とかいけたらしい(し、それ以上も走れなくはなかったが2400mまでと比べると…、とのこと)。
固有スキルは(本来ならば)『僕もいつか、いつの日か』
効果は「落ち着いたまま、終盤好位置にいると余力をもって加速する。また、出走するメンバーの内の【シルバー】、【シロガネ】のウマの人数に応じて速度と加速力を上げる」というもの。

実は史実から菊花賞後~1996JCの間、調子を崩していた馬。
だがしかしJC本番では周りの馬がゲート入りを恐れ、嫌がるほどのプレッシャーをぶちかまし8馬身差で圧勝(なお今回の話を書くにあたって、ハイセイコを出走取消されていたセイントリーさんのところ(3枠5番)に入れさせていただきました)。
でも掲示板を見た瞬間、悔しげにボロ泣きし始めた。
そのことに対して、関係者()は『父である銀弾に勝てなかったのが悔しかったのだろう』と後年述べた模様。
ちな【再来】シロガネガイセイが現れるまではコイツが銀弾系列内の芝2400m部門代表だったらしい。

イメージカラーは珊瑚色だが今回は…?
色の内容→憧れを実現しようと試みる行動派。
色言葉→ 意欲・勇猛・外交的。


ハイセイコのストーリーは父である銀弾に囚われつつも自分ひとりで立って生きれるようになるまで…みたいな感じがあるよね。
それと三冠達成するかどうかでシロガネヒーローの強さが変わりそう。
未達成ならそのままだけど、達成してたらシニア有馬で超絶強化シロガネヒーローが出てくるんだ。
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