さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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救えない"ヒーロー"に、ヒーローとしての意義はあるのか。



味方にさえ、なれやしない

──お前を救うヒーローになりたかった。

 

…なんて、言えば笑われるだろうけれど。

あぁ、たしかにはじめはお前のことが嫌いだったさ。

自分を救い出してくれた"父さん(かみさま)"に同量の愛をもらうヤツ。

けれど、『ふたり同室ね』と部屋を決められて、家族が多くなってきたところで気がついた。

 

"父さん(神さま)"は平等で、でもコイツはそんな"父さん(神さま)"からの一心の愛を求めているんだ──。

 

俺も、他の奴らも、半月にも満たない時に察する現実(事実)を、お前は受け入れられないんだと。

 

『とうさん、おとうさん…』

 

向かいのベッドでグスグスと漏らされる泣き声を聞きながら、眠りにつくのがしょっちゅう…というか、精神的にある程度いくとそうなるのか?

まぁとにかく毎日のように泣いていた。

 

『なんで……ぼくだって、がんばってるのにぃ……!!』

『どうして、おとうさんはぼくいがいみるの……!』

『なんで、あいされないんだよぉ……ッ!!!』

 

"父さん(神さま)"。

最初に救われたからだろうか。

「かわいそう」なぞ言えない。

その言葉は俺たちすべてにも当てはまるものだし、何より知らないフリを、気が付かないフリを…。

だから俺は、ただ黙っていた。

 

『……なーんて! ごめんなさい、ちょっとした冗談ですよ?』

 

朝になれば、いつも通りに戻るアイツを見て、毎日、ほっとすると同時に怖くなって。

いつか、いつか───取り返しのつかないことに、なる…。

 

「大丈夫だよ、ヒーロー」

 

 

救われたくなんてない。

僕を救っていいのは"あの人"だけ。

"あの人"以外に救われたくない。

それが信奉に近い、とか。

依存している、とか言われても構わないよ。

ただ僕は、"あの人"だけがいればそれでよかったんだ。

それなのに。

 

「……ねぇ、どうしたら僕のこと見てくれるんです?」

「貴方のためにここまで来たんですよ? 褒めてくださいよ……」

 

求めても、もがいても。

貴方が見てくれる"僕"は、既に形作られてしまった殻。

あの日の、無垢で、ワガママで、一心不乱に貴方を求められた子ども(ぼく)ではなく。

今の僕は、もう違う。

大人に近い年齢になったし、背丈も追い越してしまった。

……それに、ほら。

貴方に抱くべきじゃない(こんな)感情まで持ってしまったじゃないか。

 

「でも、…あなたのせいではないですよ?えぇ、えぇ。悪いのは物分りの悪いシロガネハイセイコ(ぼく)ですから。えぇ、えぇ、えぇ…」

 

わるいのは、ぼく…。

 

「とか。…えへへ、冗談ですよ」





【銀色のヒーロー】:
シロガネヒーロー。
かわいそかわいいするけど"救いたい"って気持ちもある。
難儀。
でもこのウマも気付かないフリをしているだけなので…。

【銀色のアイドル】:
シロガネハイセイコ。
にっこり。
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