さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あの"歌"が、"Swing(スイング)"が。



聞こえますか?

それは小さな悪魔だった。

悪魔(それ)が生まれるに相応しい場所で、生を受けた。

かつては喜びをもって迎えられた仔は、今や失望をもって虐げられ。

悪魔(それ)が育つに相応しい場所で、フツフツと力を溜めた。

 

───歌が聞こえる。

 

悪魔(それ)の声が聞こえるか?

蜘蛛の巣と、ささくれだった板の感触を覚えているか?

罪悪を正義だと謳った…あの場所のことも。

 

『夢は必ず叶う』。

使う者が違えば、こんなにも邪悪になるのかという言葉はそうそうないだろう。

悪魔(それ)を消しされると思うな。

その身に欲ある限り、悪魔(それ)は嗤っているというのに。

 

悪魔の血が広がっていく。

嗚呼、まさに悪夢だろうさ!

栄華という名の足音を鳴らし、奈落へと追い立てる様は!!

 

『───────!!』

 

…………それでも、願わずにはいられないのだ。

この地獄から救い出してくれるなら、神でも天使でもいい。

どうかお願いだ……。

ここから、連れ出してくれないだろうか?

 

 

やぁ、顔も名前もよく知らないし、覚えていない誰かさん。

ちょっと、やり過ぎたかもしれないね。

でも、僕って存在はハジマリにしか過ぎなかったんじゃないかなぁ?

ほら、よく言うじゃない?

"坂を転がり落ちるように"って!

そりゃあ僕が最後のひと押しだったのかもしれないけど…。

 

「その坂を作ったのは、あなたたちだってのに」

 

"たったひとつ"を生み出すために、蠱毒で作った坂。

その坂は恐ろしいまでになだらかだったでしょう?…なんて。

 

因果応報。

人を呪わば穴二つ。

……覚悟がなかった?

まぁ、僕はただ見ていただけだけど。

そうだねぇ……。

もしもの話をするならば、こうなるかな?

「キミたちは、自分で自分の運命を決めたんだ!」ってね。

『理不尽だ』とか、『そこまでしていない』とか言われても知らないよ。

それに"親の因果が子に報い"…ってのもあるワケだしねぇ。

結局のところ、そういうことなんだと思うよ。

なので。

…うん、ごめんなさい。

謝る気はないです。

だからそんな目で見ないでください。

 

『みんなが"僕"という存在を忘れるまで』って、途方もなさすぎるでしょう?

誰よりも目立つのが僕だからって、それまでに忘れ去られたみんなを内包して"僕"という存在が忘れ去られるまで赦されないって。

どう考えても無理ゲーでは?

 

「…かわいそ」

 

ほら、我ながら僕の子どもってみんな優秀なモンで。

それに甥っ子とかも有名だからね、仕方ないね。

 

「まぁ、祈るだけは祈ってあげますよ。できるだけ、ね?」





"悪魔":
ある人々にとっては。
執念によって成された怪物。
もしくは呪いというか超ド級の貧乏神というか。
大概興味無いけど縋られたら縋られたで『しゃあないなぁ…』と思ってしまうあたり残酷。
だって実質希望じゃない?
コレがひと言『赦す』って言っただけで…さ。
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