お久しぶりの登場。
或る"再来"と、そのライバルの話。
「クライ」
ふわふわとしたソイツに、自身が認識されていると知ったのはいつだったのか。
それは最早分からないが、初めてそう呼ばれた時の歓喜だけは今も覚えている。
そして同時に、その喜びを噛み締める間もなく絶望したことも。
…お前は。
お前は、俺みたいな有象無象なぞ目に入らない
こっちなんて振り返らない、…言いたかないけど、お前はそういう存在だろ!
なのに何で…。
*
自分でも自分がぼんやりしている子どもだとは分かっていて。
走ることと食べることと寝ることぐらいにしか興味無さそう、とトレーナー含め家族にまで言われて育ってきた。
まぁ実際、いま主軸を置いている『走る』という行為すらもあの日憧れなかったらしていなかっただろうから、そんな評価になるんだろうなとは思うし、別にそれで構わないとも思っていた。
けれども。
「、?」
ある日、ふと。
自分にいつも話しかけてくるその人に、興味を持った。
他の人々はそこまで根気強くもなければ、暇でもないらしく、大概一度か二度話しかければもうこちらには見向きもしなくなるのだが、その人だけは違ったからだ。
毎日毎日飽きることなく、時間を見つければ自分に声をかけてきた。
最初は、単に珍しい人なんだと思っていたけれど。
それが何度も続くうちに、気付けば「はやく声をかけてくれないかな?」とかソワソワするようになって。
「クライ」
自分からもキミの名前を、呼びたいと思ったの。
*
「クライ、クライ」
その日より、ずっとずっと見てきたソイツは、俺を親と認めたかのようにずっとずっと、着いてきた。
周りの奴らが、俺に向けて鋭い眼差しをしてくるくらいにはふにゃりと笑ってみせたりして。
でも俺は知っている。
コイツにとっての一番は、俺ではないのだということを。
だから俺は、今日もその傍にいながらも目線が逸らされる、そのいつかを、…恐れている。
曇り空のような銀灰色の眼。
それを縁取るまつげ。
白い肌と同じくらい淡い灰色の髪。
華奢に見えるくせに意外にも筋肉質な体躯。
同年代と比べても小柄な身長。
かつて"伝説"と謳われたウマと瓜二つだという容姿。
だがしかし、
「クライ」
発せられた名は明確な指向性を持たず。
ただ、覚えたばかりの言葉を吐くようで。
それでも確かに、己に向けられたものなのだということが伝わってきて。
……あぁ、クソったれめ。
この胸の奥底にある感情が何なのか、分かっているつもりだ。
だからこそ余計に腹立たしいのだ。
こんな、何もかも中途半端な関係性が。
そんな関係性を、喜んでいる己が。
だがそれをもっともっと欲しいと望む欲深な己が!!
「…クライ?」
【叫び、追う者】:
クライハウンド。
血統に【心の叫び】と【銀色の王者】がいる系ウッマ。
【再来】たるシロガネガイセイに自分を見てもらいたいと思いながらもいざ見てもらえたら「解釈違い!」と内心で叫んでいる難儀なライバル。
また【再来】と関わるごとに【再来】の情緒が生まれたてじみた"ナニカ"だと気が付き…?
【再来】:
シロガネガイセイ。
大概情緒が幼い。
はじめて興味を持った【叫び、追う者】にキャッキャと絡みながら過ごしている。
んで【叫び、追う者】の行動を見て、聞いて、学んで、行動しようとしているフシがあり、【叫び、追う者】の行動次第でどうなるかの√分岐がかかる可能性も無きにしも。
…あれ?コレ、実質光源氏計画みたいなものなのでは…?