緑色の目をした怪物。
「キミ、嫉妬とかしないんだね」
「そういうお前はすんのかよ?」
「まぁ…それなりには〜?」
にゃはは、と誤魔化し笑いをするものの、腹の中はグズグズと。
真っ暗な感情が蠢いては、自分を嗤う。
たしかに、成長するためには『緑色』の目をしているべきだと思うし、自負・嫉妬・貪欲の3つは人の心に火を灯す火花だという。
だから、この胸の中のモヤモヤした気持ちも、自分の中に宿る黒い炎のようなドロリとしたモノも、全部無視できるものではない、と受け入れてはいるが。
(あー……ダメだこりゃ)
心の中で苦笑する。
どうやら自分は自分で思った以上に意地が悪いらしい。
または、…欲深いのか。
「…………」
ふぅ、と小さく息をつく。
そして、ゆっくりと目を閉じて、開く。
すると、そこにはやはりいつも通りの
*
「『嫉妬とかしないんだね』、ねぇ…」
先ほど言われた言葉を反芻する。
嫉妬、嫉妬…。
「ンなの、ずっと
嫉妬の先はずっと遠くて。
遠いから、近くに焦点が合わないだけ。
姿かたちもよく知らぬ相手に焦がれるように想いを募らせている。
他に見向きなんて出来やしない。
そんなこと、ムダだってくらいわかっているのに。
それでも、
「俺以外の誰かを見ないでほしいんだよ」
その瞳には自分だけを映してほしいのだ。
他の誰にも渡したくない。
そう思うことは罪なのか?
『憧れ』という地点すら飛び越えた先。
それ以上に、
「俺は"あの人"の特別になりたいんだよ」
誰よりも近くで、一番近い存在として在りたい。
それはきっと、誰もが抱いている願望だろうけど。
でも、願わずにはいられない。
それがたとえ傲慢だと罵られても構わない。
ただただ、その"星"の特別でありたいと望む自分に嘘はないのだから。
「……」
夜空に浮かぶ月を見上げる。
今日は満月か。
雲ひとつなく、星々がよく見える。
「いいなぁ、アンタらは。…"あの人"と一緒に、輝けて」
*
遠くを見つめすぎた瞳は、いつしかボヤけるということを知ったのはきっと、あのウマと関わってからだろう。
『嫉妬しないの?』とかつて自分が問うた言葉を後悔するほどにどこまでも、果てしなく追い求めていた瞳を。
今ではもう、見ることはない。
それどころか、その姿を見ることさえ叶わない。
……否、違う。
本当は、どこかでは気づいていたはずだ。
いつか来る終わりを。
だからこそ、あんなにも必死になって追いかけてきたはずなのに。
今となってはその記憶さえも朧げになりつつある。
「オレも見て欲しかったとか…なんて、今更だよなぁ」
【トリックスター】:
セイウンスカイ。
それとなく【銀色の王者】に嫉妬していた。
だが、自分とは視座から違う嫉妬をしていた【銀色の王者】の眼を見てみたかったな…と少しばかりの後悔をしているウマ。
キミの目は、どんな色だったっけ?
【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
"あるウマ"にだけ嫉妬するウマ。
そして"星"に手を伸ばし、届きかけ、そして焼かれた只人でもある。