これは約束されしタラシ定期。
ウイニングライブが終わったあと。
帰るにしても妹が今日見に来てくれていたはずだから合流して一緒に帰るか、もうこの時間だから危ないし…と考え、廊下にあるベンチに座ろうとすると。
「先輩!」
「ん?」
声。
振り向くとそこには今日一緒に走った後輩が。
「よ、よかっ…ハァ、見つけ…」
「いったん息を整えて、落ち着いて」
「は、い」
走って、またバックダンサーとして踊った後だ。
疲れているだろうにここまで息があがるほど焦って僕を探していたなんて一体どうしたのだろうか?
「あの、さっきの…!」
「うん、なにかな?」
「その……」
少し言いづらそうにする彼女を見て僕は察する。
……あぁ、そういうことね。
「大丈夫だよ、キミの気持ちには察しが着いてるよ」
昔からよく言われた言葉だった。
僕の走りってのは速くて、そして。
…心を折る、ってことは。
後ろを向くとそんな言葉と心底恐れた目をされるものだから。
だから僕は後ろを見るのをやめた。
でもそれは仕方ないんだ。
だって僕は……。
「先輩、すごかった!…ぁ、すごかったです!!」
「えっ、」
かけられたのは想定と違う言葉。
ガッシィィ!と力強く、握られた手はもはや握りつぶされそうなくらいに。
そこからブンブンと上下に振られてしまえば体も同じようにぐわんぐわんと。
「本当にすごかった!次は有馬記念に出るんだろう!?また…」
「えっ、あー…」
「…先輩?」
あっ、しまった。
…いやでも、ちゃんと言っておいた方がいいよね。
「僕ね、このレースで───」
*
「姉さん!」
「ウワーッ!?」
私の姉は昔からよく絡まれていた。
たしかに私の姉さんは速いけれど、『バケモノ』と呼ばれていいわけがないのに!
かつてなら「早くおいで」と振り返ってくれた背が振り返らなくなったのはいつだったろう。
待って待ってと伸ばした手が届かなくなったのは?
ねぇ、どうして私を置いていくの?
なんでいつも一人で行ってしまうの? 私はこんなにも大好きなのに。
置いていかないでほしいのに。
だから。
姉さんを傷つける人は嫌い。
レース後の姉さんに話しかける人はいつもそうだから、今回だって
「先輩、また走ろう!」
…思ったのに。
彼女は、クラスメイトのオグリキャップさん。
話しかけられたら話す…程度の仲だったけど、そういえば今までちゃんとその目を見たことがなかったかもしれない。
真っ直ぐで、真摯で。
嘘とか、つくの下手そうだなぁって。
そんな彼女が言ったのだ。
「また走ろう、」
【芦毛の怪物】:
オグリキャップ。
無自覚に好感度をガンガン上げていくウマ。
絶対嘘つくの下手だし顔良いしサラッと小っ恥ずかしいこと言ってきそう。
…もしかして【白の一族】からしてこういう純朴そうで実直な、昔話に出てくるタイプの正直者好きだな????
僕:
シルバーバレット。
後輩可愛い。
自分と走っても絶望せず、逆に自分とまた走ろうと言ってくれたので好感度⤴︎⤴︎⤴︎。
【銀色の運命】:
シルバフォーチュン。
家族が大好きなので家族を悪く言われたら即ブラックリスト入りさせるタイプのウッマ。
それはまた逆も然りであるので【芦毛の怪物】に対して好感度⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎ ⤴︎⤴。
ちな取り繕う人よりも真っ直ぐ来てくれる人が好きだとか。