でも、それでも。
譲りたく、ないがために。
子どもは高いところが好きというが、それはある程度の年齢となってもそうなのかもしれないと考える。
『や゛!おじーちゃん!』
『おとうさん、おじいちゃんかえして!』
「ははは…」
「…、」
いつもと変わらず。
「おじーちゃんが好きな子だーれだ?」「ギューってしようねぇ」と両手を広げ、きゃらきゃらと走ってくる子たちを待っていると、ビュンと風が来たかと思えば次の瞬間には。
「え、えぇ…グローリー?」
「…」
『や゛ーッッ!!』
マジの顔で走ってきた親友-グローリーゴアにひょいと抱っこされてしまった。
さすがにこの年になれば恥ずかしいし、なによりあの子たちを抱っこするために手を広げていたのであって…と、止めてくれと頼んだのだが……。
「…、」
「う、ぐ…」
頼んだことによって、強まる腕の力。
しかも下からは『や゛ーっ!』『じいちゃじいちゃ!!』とびゃあびゃあ泣きじゃくる声。
そんな様子を周りにいる大人たちは微笑ましく見つめているものだから尚更いたたまれない気持ちになる。
たしかにいつもこんな感じだけれど、子どもが泣いているのだからこう…諌めてくれるぐらいしてもいいだろう!?
「可愛いな」
「…はやく下ろしてくれなきゃ嫌いになるよ」
「うっ、」
*
血筋ゆえか、父に自分・母父に親友を持つ子たちは総じて母父である親友に懐く。
『おじいちゃんおじいちゃん』と雛鳥のように後ろを着いていき、親友の方も子供好きで、そういった類の世話を喜んでするものだから余計に拍車がかかるのだ。
そしてその孫たちもまた、そんな祖父を強く慕い…。
「…」
『…』
バチッと。
大人げないと自嘲しながらも親友を囲み、じっと父である自分を見やるわが子たちと火花を散らす。
「『……』」
「ふふ」
「『……』」
「ふふふ……!」
しかしそれも束の間。
こちらの気など知らずに笑う親友を見てしまえばどうでも良くなり、「仕方ないな」とため息をつくしかなかった。
「ご飯作るから、片付けしててもらえる?」
『はーい!』
「キミもだよ、グローリー」
「…おなか減った」
「またつまみ食いする気?太るよ?」
「ちゃんと走るから大丈夫」
「そう言って朝から僕を叩き起すんだろ?」
「健康的な生活で何よりじゃないか」
「毎日眠いんだよ」
「いつもあの子たちと昼寝してるクセに」
「それとこれとは別だろ」
「…はいはい。わかったよ」
「あとデザートあるからね」
「ん」
「余分もあるけど…喧嘩するなよ」
慣れた手つきで料理をしながら軽く「あっち行ってて」という風に肘でつついてくるのを腹筋で受け取って。
ぐぅ、と腹が鳴るのをクスクスと笑われた。
ふたり:
サンデースクラッパ&グローリーゴア。
穏やかでやさしい母父&大人気ない父。
今日も今日とて仲良くやっているが、子ども相手にライバル心的な何かを抱いている相手にはちょっと呆れ気味。
けれど上手い具合にあしらえる辺り慣れてしまっている。
はいはい、キミも可愛い可愛い。