さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

409 / 1416

父が父なら子も子、みたいな関係になりそぉ…。



『期待』は(おも)しになりえるか

『アウト先輩〜!!』

「あーあー、待ってろ。すぐ行くから」

 

シルバアウトレイジというウマは、見た目や言動とは裏腹に優等生で。

まぁ時おり授業をふけることはあるけれど、それも大概は誰かを助けていたりとか、そういった事情ゆえ。

人となりを知らない相手からは避けられがちだが、一度その人となりを知ってしまえば、誰からも慕われる存在となるのだ。

 

「あ〜、そこは○○して」

「それはココ抜き出すんだよ」

 

今日だってそう。

自らを慕う者たちに「テストがヤバいんです!」と泣きつかれては空き教室をひとつ借り切って勉強会を開いている。

さすが、手を抜きつつも学年総合5位以内は死守しているウマである。

「難しい問題だったらやる気出るんだけどな〜」とボヤく声もらしいっちゃらしい。

 

「はい、ひと通りは終わったな?」

『ありがとうございました!』

 

放課後が丸一日潰れ。

でも、アイツらの役に立ったんならいいか…と考えながら教室の片付けを。

ガタガタと椅子と机を動かし、ちゃっちゃと掃き掃除をしていると。

 

「見つけた」

「おう」

 

カラカラとドアを開けて、同じくシルバアウトレイジを慕う後輩のひとり-【飛行機雲】が現れた。

 

「お前は、」

「はい」

「テスト、大丈夫なのか?」

「バッチシですよ!」

「そうか」

「手伝いますか?」

「いや、いい。これで終わりだから」

 

カラン、と用具入れに箒とチリトリをしまえば、いつの間にか近づいてきていた後輩の手が閉まった用具入れの扉につき。

 

「あの人たちの面倒って…見る必要、あります?」

「は?」

「先輩、レース近いのに」

「…………」

「あの人たちに時間割いてる場合じゃないでしょう?僕、知ってるんですよ?先輩がトレーニングの時間削ってまであの人たちのために勉強してること!!」

「…いいだろ、別に。俺がやりたくてやってることなんだから」

 

グイ、と包囲網から抜け出そうとすれば、ガン!と肩を掴まれ押し付けられて。

 

「お前、なにそんなにイラついてんだ?」

「…言っても、分からないでしょう?先輩には」

 

にこり。

いい笑顔を形作るけれど、その瞼の下の目はきっと。

 

「でもさ」

「…」

「アイツら『俺がいないとダメだ〜』って言うから、だから」

「……そういうところですよ、先輩」

 

 

慕われやすい貴方。

頼られると、断れないやさしい貴方。

勉強だって、レースのことだって。

頼まれればふたつ返事でOKしてしまう。

文句を言いながらも、何だかんだでサラッとこなしてしまうものだから。

 

「先輩!何かしてほしいことはありますか?」

「…いきなりどうした?」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
ぶっきらぼうだけど面倒見がいいボス。
隠れファンクラブとかありそうだし、気付けば中心になっているタイプ。
なので【銀色の激情】なら何とかしてくれるよね、といった風な信頼がナチュラルにあったり。
そしてその信頼を大して苦もなく達成できちゃうモンだから…。

【飛行機雲】:
後輩。
【銀色の激情】の危うさにどことなく気づいている。
またその期待に応えられるだけのポテンシャルがあったことが運の尽きとも、考えている。
ゆえに【銀色の激情】を支えようとしたり何だりしているが気づいてもらえない。
逆に「大丈夫」「お前に手伝ってもらうほどのことじゃない」などやんわりと断られ…?(じっとり)(にっこり)(ハイライトオフ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。