さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ひとりで立てる『強者』というやつは『孤独』であるのだろうか。
寄りかかることもできないまま、いつしか崩れ落ちるように。



確固たるけど(いびつ)

自分の成したことで、得られる誰かの笑顔が何よりもいっとう好きな人なのだろう───。

 

その人、こと『先輩』はそんな人だった。

『成せば成る』の体現者というか、努力すれば努力した分だけ成功が約束されているというか。

自分に不都合な運命は自分でブッ壊して最善で最高の結末に、自力で持っていける人。

だから、みんなその姿に夢を見ずにはいられなくて。

だから、みんな『先輩』のことを好きになるのだ。

 

「…………」

 

でも。

 

(僕には)

 

それができないから。

『先輩』みたいに強くない僕は、決心がつかないとただ憧れて見ているだけで終わってしまうから。

だからせめて、僕ができることをやろうと思ったんだ。

僕の大切な人が傷つかないように、防波堤になりたくて。

せめて、投げられるナイフや石を、代わりに受け止める壁になりたかった。

けれど、けれども。

 

「…つまんねぇモン見せちまったな、お前に」

 

そうする前に、あなたは前に出るから。

投げられるもの全てを受け入れて、そして全部を跳ね返してしまうから。

だから、誰もあなたを傷つけられないし、あなたの心も折れることなんてない。

いつだって、どんな時だって、誰に対しても。

あなたは真っ直ぐに立っていて、それを曲げたりしないから。

 

「ホント、つまらねェよなァ。アレだけ言えるンなら正面切って言ってもらった方がいささかスッキリするってもンだぜ?」

 

それはきっと、僕なんかじゃ到底敵わないくらい強い人の言葉で。

 

「……すみません」

 

ただ謝って俯くしかできなかった。

 

「まぁ、オメェが気にするモンじゃねぇよ。逆に俺が謝んなくちゃいけねぇぐらいなンだから」

 

ひどい言葉だった。

『先輩』の、努力を、献身を、何も見てはいないのかと思ってしまうくらいに、ひどい、酷い言葉だった。

そんな言葉を吐きながらも、あの人々は『先輩』に助けを求めるのだろう。厚顔無恥、大なり小なりの"お願い"を振りかざすのだろう。

その"お願い"を、『先輩』が断らないことを知っているから。

 

…折れず、曲がらず、立ちっぱなし。

誰かに寄り添うこともなく、ただ独りきりで立っている姿はまるで一本の柱のようで。

それはとても気高く見えて、同時にひどく寂しいものに思えた。

 

「……あの、先輩……」

 

だから、思わず声をかけてしまった。

このままではいつか倒れてしまうのではないかと思うほど、危なげに見えるから。

しかし、

 

「お前が心配することは何もねェよ。な?」

 

あなたが笑う。

支えさせてくれないあなたが。

だから、僕は怖いのです。

いつかそんなあなたが、

 

(何も言わず、気付かぬうちに…()れてしまう気が、して)





【飛行機雲】:
後輩。
先輩である【銀色の激情】を支えたいと思いながらも【銀色の激情】自身が強すぎてどうにもできないすがた。
周りのみんながみんな【銀色の激情】に頼りきりで、強い人だと看做すのに異を唱えたいのに、そう思っている【飛行機雲】自身も気づけば『先輩って凄いなぁ』とか思ってしまう矛盾。

…もう、先輩と僕だけにすれば全部解決するかなぁ?

【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
先輩。
メンタリティがオリハルコンで何があろうと自分でしっかと立って歩ける強者。
成せば成るの体現者でもあり、『アイツは俺たちの期待を()()()裏切らない』系のウッマでもある。
しかしそれは見方を変えれば、「誰かに頼られる・誰かに期待される」というフェーズを通さないと何もできないのと同義であり、そのフェーズを失った際に【銀色の激情】が【銀色の激情】足り得るかは…?

…なんか、どことなく(いびつ)なのが銀系列だなって。
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