さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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コンプリート!…ではあるけどフワッとした感じで書いてるんで、ハイ…。



【白の大侠客】と若人

世相がきな臭さを帯びていたその時、当時のトレセン学園生徒会長であったそのウマが『賭け競走(レース)』のことを知ったのは"一身上の都合"で学園を辞めていった後輩が同輩に漏らしていた言葉からだった。

 

いわく、その『賭け競走(レース)』の胴元に世話になるのだと。

自分は競走(レース)の才能はないが細々とした雑務をするだけでもいいと、男手が出払い、母ひとり娘ひとりとなって、学園を辞めざるを得ないほどに困窮した自分にその胴元が声をかけてくれたのだと。

 

「…そんな美味い話、あるわけないだろう」

 

だから、生徒会長たるウマは『賭け競走(レース)』の本拠地に乗り込んだ。

がしかし、

 

「…国の犬っころがなンの用だ?」

 

一応は学生のかたわら、国家憲兵として働く己が易々と引っ捕らえられ、胴元の前に引き出された。

光源のほぼない部屋の中、見下ろす目付きをする胴元は生徒会長であるウマよりもずっと歳上に見え。

ふぅ、とキセルで煙を漂わせ、吸ったそれをぷかりと吐き出して一言、「帰れ」と言った。

 

「テメェみてぇなボンボンが来るトコじゃねンだよココは」

 

そう言いながら、胴元は周囲にいた部下だろう面々に「離して、どっかにほっぽって来い」と指示を出した。

 

 

『賭け競走(レース)』の胴元、または【白の大侠客】とまで陰ながら噂されるウマの名は"シロノマガツ"という。

ヒト族よりも身体能力にすぐれるウマの中でも、生まれながらに大柄で力も強かったことと育った環境もあってか、成人したころには既にガラの悪い周囲をまとめあげ手腕を奮っていた。

シロノマガツ本人としては『人の上に立つ人間ではない』と下克上を積極的に推奨していたが、シロノマガツが考える以上にそのカリスマは強く、気付けば周囲の人間はみな心酔してしまっていたのだ。

故に、

 

「…また来たのか坊主」

 

自分を追い落とそうとする若いのが気に入って気に入って仕方がない!

己を『悪』と看做すなら勝手に看做せばいいのだ。

 

「テメェも暇なモンだなァ?儂に敗けるのが分かってるクセしてよォ」

 

自分を射殺さんばかりに睨みつける若造に嗤う。

巷が言うにゃ、『史上初の三冠バ』だとかどうだとかと騒がれているらしいが。

 

「…もうちっと濁の方も呑み込んだ方がいいと思うゼ?」

 

ぎゃあぎゃあと騒がしく老耄(自分)を讃える部下どもの声を聞きながら。

そう言って、にこりと笑えば…おお、怖い怖い。

 

「挑みたい阿呆から前に出な!この老耄が相手してやらァ!!」





【白の大侠客】:
シロノマガツ。
ホワイトインセイン・ホワイトノーマルの父であり、銀弾にとっては高祖父にあたる。芦毛。
生まれてから亡くなるまでずっと、治安の悪い地区一帯を取り仕切る大親分だった。
また【賭け競走(レース)】を取り仕切っていたのは、部下たちが揃いも揃って気が荒いため、発散場所を作らないとすぐにぶちのめし合いに発展するからである。

それはそれとして大親分が過ぎて、自分に逆らう骨のあるヤツがいなくて飽き飽きしていたところに現れた若造にゾッコンだったとか…?

若造:
トレセン学園の生徒会長兼巷で噂の初代三冠バさん。
学生でありながら憲兵として働いてもいるため、治安維持のために【賭け競走(レース)】を取り締まろうとしたら色々な意味でけちょんけちょんにされた。
そこから、もはや老境にいる【白の大侠客】に執着するようになり暇さえあれば競走(レース)を挑みに行っていたらしい。…が、それを【白の一族】で知る者は?

大正ごろから始まった血筋なんでね、この時代を生きている一族もいるよねって。
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