さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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───さぁ、がんばれがんばれ♡(他人事)


手にするのは…?

「いい加減『答え』を出さなきゃ、刺されちゃうわよ?姉さん」

「ブッ…!?い、いきなり何を…」

「何をどうしても!」

 

その日、その姉妹は未だ茹だる炎天下を横目に、まぁそれなりに涼しい家の中で言い合いをしていた。

 

「私たちももう大人よ?いつまでも子どもじゃないんだから!!」

「そ、そんなこと言われても……お姉ちゃんにはそういう覚えがひとつも……」

「覚えがあるとかないとか言ってられないでしょうが!!このままじゃ本当に刺されて死んじゃうのよ!?」

「うぅ……、えぇ〜……????」

 

んな昼ドラみたいな…と呆れ半分信じられない気持ち半分で半目で見つめてくる姉に、妹も絶対零度の目で答える。

誰があなたに取り入りたい有象無象の相手をしていると思っているの?と。

私におもねってくるなら当の本人の方に行けばいいのに、と思ってもその当の本人がスカポンタンだから彼女が大切に、溺愛している妹である己をもって外堀を埋めようとしているのだと気づいてからはさらに苛立ちが増したものだ。

 

(…さすがに敬愛している姉さんと言えども)

 

何より腹立たしかったのは、この姉が自覚なく自分に群がる者どもを袖にしていることだ。

それは別に構わない。

だって自分含め家族は彼女の選んだ『彼女の幸せ』を願っているのだし、どうしようと彼女の勝手だし、そもそも自分が口を出すようなことではない。

だがしかし!

 

「姉さんには…誰が繋ぎとめてくれる人が必要だと思うの」

「んぇ?」

「だって姉さん、放っておくとお星様みたいに誰にも手が届かないところに行っちゃいそうだし」

「さすがの僕でもお星様には…」

「それを考えると繋ぎとめてくれる人は多ければ多いほどいいかもしれないわね」

「おっとぉ?」

「重しは重ければ重いほどいいと言うし」

「話の流れが変わってきたなぁ…」

 

考えをまとめる内に妹たるウマ娘は思い至った。

『別にひとりじゃなくてもいいじゃない』と。

この姉をたったひとりが操縦するなんて無理なのだ。

ならば数を増やしてしまえばいい。

そうすれば多少なりとも制御できるだろうし、最悪何かあったとしても全員で引っ捕らえてやればいいのだ。

そして話は続く。

 

「というわけで姉さんと共に在って大丈夫な方を厳選しようと思います」

「待っ、ちょっとまって??なんの話してるのかな???」

 

姉を求めてくる者は数多。

その中から選ぶなど到底不可能に近い。

故にまずはふるいにかけようと思ったのだが……。

 

「あー……うん、ごめんね?僕はその、あんまりそういうことは考えたことがなくて……」

 

困り顔の姉を見て、彼女は悟ってしまった。

ああ、これはダメだ、と。

 

「…なら、GOサイン出しておくね!」

「何の!?」





僕:
シルバーバレット(ウマ娘のすがた)。
クソボケ過ぎて、そのお鉢が溺愛している妹に向かっている。
またの名を『誰かが引っ捕らえてないと知らない場所に飛んでいく風船』ともいう。
なお本人に風船の自覚はないものとする。

僕の妹:
シルバフォーチュン。
無垢なる毒牙。
だが姉の僕よりはマシ。
僕に好印象を持ってもらいたい激重勢からよく接触を持たれるが、こっちもこっちで激シスコンなので『あらあらうふふ』しながらも見定めている。
でも僕がクソボケ過ぎて…(死んだ目)。
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