さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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家族から今日もニコニコ見守られている夫婦定期。

「あのふたりは、いつもあんな感じだよ。」
「…ちょっと、羨ましいよね」



夫婦問答

「お前のヤキモチは、可愛いなァ」

「『ヤキモチ』なんて可愛いもんじゃねぇよ、悋気だよ悋気!」

「そうかい」

 

ゆるゆると、その白い喉を撫でながら夫たる男は思考する。

嫉妬をもって化生に転ずるのは女性…というイメージが何かと先行しがちだが男性も、そう変わらないのではないかと男は思うのだ。

惚れた欲目を抜きにしても男の妻である女は美しい。

黙している時はまるで幽玄のようなのに、ひとたび声を発すると烈火のごとく。

苛烈で、触れるだけで火傷しそうで、…それでも触れずにはいられないような魅力がある。

そんな妻だから、彼女のことをよく知らない人間のことを思うと余計に心配にもなるだろう。

この綺麗な生き物は自分のものだと叫びたくもなるだろう。

……まぁ、当の女本人はそういった視線や感情など歯牙にもかけていないようだけれども。

 

「余所見して、どうしたんだよハニー?」

「おいおい、そこは俺がハニーって呼ぶとこだろ」

「本場ではどっちでもいいらしいぜ?それが」

「へぇ。そりゃあ知らなんだ、ダーリン?」

「…………」

「なんだい俺のダーリン?言い出しっぺのくせに照れてんのか?」

「うっせー!もう喋んな!!」

 

顔を真っ赤にして喚く妻の姿が可愛くて仕方ない。

何度愛を囁いても変わらず初心な反応を見せる彼女が愛おしすぎて困るくらいだ。

きっと。

世の男共なら、こうして睨まれただけで震え上がったり狼狽えたりするのだろうが。

『愛』と、言葉ばかりの情念に呑まれてしまった我が身では、それすらもちょっとした機微のひとつに等しい。

"いとしい人"を構成する、あまたのひとつ。

そう思えばこそ、己にとってコレもただひたすらに甘美なものとなるのだ。

 

(まったく。こんな気持ちになるなんざ思ってなかったんだがなァ)

 

いつの間にか随分と深みにはまっていたものだ。

それもこれも全てはこの女のせいだと考えるも、そうなるようにしたのは自分か、とも思考する。

 

…はじめに『欲しい』と願ったのは自分で。

それに応えてくれたのが彼女。

 

彼女なら、自分以外にも選り取りみどりだろうに。

どうしてわざわざ自分に手を伸ばしてきたのか。

その理由を問うたことはないが、おそらく彼女はこう答えることだろう。

 

───だってアンタが一番真っ直ぐだったから。

 

そういう奴なのだ、この(ヒト)は。

取り繕うこと(ウソ)が嫌いで、その身に宿る気持ちが綺麗でなければ綺麗でないほど、幼子のよう手を叩いて喜ぶ。

 

「綺麗事なんて、信じられるか?美辞麗句なんて、誰でも言える言葉だろう?」

 

にぃ、と笑いかける様はゾッとするぐらいに。

それでも、

 

(…俺もどうせ同じだろうし、そうじゃなくても)

 

俺たち、夫婦(めおと)だし。…なァ?





夫婦:
光今井パパ&白百合ママ。
今日も仲良し。
何だかんだ夫婦共に嘘は嫌いそう。
なので基本ストレートにデッドボールしてるし、それを双方難なく受け止めている。
受け止めつつ「おも〜!」とケラケラ笑ってる、みたいな。
…これが、この親にしてこの子ありって奴?
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