さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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いつでしょうね?



"いつか"

「いいよぉ。じゃ、走ろっか」

 

長期休みということで実家に帰り。

その中で父に自主トレの相手を頼むと、こころよく了承をもらえた。

自分ももうクラシック級。

だから、少しぐらいは父に──『本気』を出して、もらえるかと、

 

「はい、いったん休憩ね〜」

 

思ったの、だけど。

冷たい飲料やタオルが入った保冷リュックを背負った父の方が、何も持っていない自分より負荷がかかっているはずなのに。

そもそも、父と子という不可逆な年齢の差があるというのに。

 

「…あらら、ちょっと飛ばしすぎたかな?汗も息もすごいしアッチの木陰に行こうか」

 

父は、ちょっと汗を垂らすだけであとは平常。

一方、自分はといえば息も絶え絶えで、汗もかきまくって、立ち上がることすら覚束なく。

木陰まで肩を貸してもらって移動して、そこに座るとスポーツドリンクを手渡される。

それを飲んで一息つくと、今度は汗を拭うから、と言われ……さすがにそれは恥ずかしかったけれど、抵抗する体力もなく素直に従うことにした。

 

「キミは本当に頑張り屋さんだねぇ」

 

そんなことを言いながら自分の体を拭く父の顔には、いつもと同じ笑みがあって……それがなんだか悔しくて。

でも、それ以上に嬉しくもあって。

この人はきっと、子どもである僕らに期待しているんだろうなって思って。

……いつか、追いついてやる!

なんて意気込みながらも、いつも以上に疲労してしまったことと、日の照りが強くなってきたこともあり申し訳ないながらも迎えの車を頼んだのだった…。

 

 

この歳になって、現役も引退したというのに。

体を鍛えてどうするのか、と自問自答しても止められやしなくて。

いつも通りの道を、いつも通りのスピードで、走る。

ただそれだけのことだというのに、心が躍る。

…ああ、やっぱり僕は走ることが好きなんだなぁ。

そう再確認しながら走っているうちに、ふと考える。

 

(そういや、現役の時よりも走る量増えてる、か…?)

 

いつでも()()()()()ぐらいの負荷で調整しているはずだけど。

思い返せば思い返すほど、本気で走っていないとはいえ走っている量が多い気がしてきた。

まあ、その分トレーニングは軽めだし、ストレッチだってちゃんとしているから問題はないんだけど……んー、なんだろう、この違和感。

何かを見落としているような感覚があるんだよねぇ。

……うん、まあいいか。

それよりも今は、目の前にある世界に集中しよう。

 

 

いつかを待って。

いつかのために力を溜めども。

 

「それって、いつ?」





僕:
シルバーバレット。
まだまだフツーに強いし、何気なく考え直してみれば現役時代とさほど変わりない強度でトレーニングしているウマ。
自分でももうちょっと楽にしてもいいかも…と思っているが強者を求める本能がね…。
だってさぁ、もしさぁ、自分と対等になれる"誰か"が現れたとして。

───少しでも、『後悔』が出ちゃうような(からだ)じゃさぁ。
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