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世界をぐちゃぐちゃにされたくないからって、流石にこれはねぇ…『運命』とやら。
「…」
見つめる先には、ヒラヒラと揺れるズボン。
今生、産まれてから
抱き上げられねば這いずることしかできず、また移動も満足にままならない。
ウマとして生まれたというのに(決してダジャレではない)走れないとはこれ如何に。
「よい、しょっと」
レバーひとつでそこそこ動く車椅子に揺られながら、ボーッと散歩に出る。
何を家族に言わずとも、ちゃんとGPSを着けられているし、向かうにせよ行く場所はどうせ決まっている。
「お父さん」
「おう」
ガタゴトと向かった先はそう、父のいる場所。
今日も今日とて趣味の菜園(というよりはそこそこの規模の畑)の世話をしている。
「暑いだろ」
「なので色々持たされたよ」
「そうか。おら、帽子被っとけ」
「ぅ、」
母に持たされた保冷バッグからキンキンに冷えたスポーツドリンクを手渡し、チビチビ飲む僕とごくごく飲み干していく父の対比が運動量の差なのだろうな、と。
「ん、帰るか」
「いいの?」
「お前帰したらもう一回行くからいンだよ。お前が熱中症になる方が怖い」
*
ずっとずっと、待ち望んだ我が子には───脚がなかった。
"あの日"、親不孝にもいなくなった我が子。
その子にようやっと"再会"できたと思えば、ふにゃあふにゃあと泣くその脚は。
けれども。
『こっちの方が、いいのかもしれない』
そう、呟いたのは義父。
確かに、"あの日"のことを考えるとそもそも
義足を付けようにも、この子の脚力ならどうせ、どんなに高級品を与えようとも簡単に壊すだろうし。
それに何より、もう二度と、あんな思いはしたくなかったのだ。
「おはよう、父さん」
寝起きで、ふにゃ…と笑う子が抱っこを求めてきて。
それに応えて抱き上げた体は軽い。
「今日は何する?本読むか?」
「うん!」
元気よく返事をする子に笑いかけながら思う。
───幸せだ、と。
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・
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今生では、おだやかに過ごしている。
家族も町の人も、いい人ばかり。
というか、"前"に行き着くところまで行き着いてしまったから今は
"前"、あんなに無茶苦茶したんだからいいでしょ?って。
もしくは、『走りたい』という気持ちを一緒に
「…なんて、ね?」
カラカラと車椅子が動く。
さぁ…と撫でる風が髪を揺らし、服を揺らして。
「……帰るか」
僕:
シルバーバレット。
走り切って、走り終わって。
『幸せ』を享受している。
家族:
今度こそ、ずっと一緒に。
『幸せ』に。
周り:
探し回っている。
魅せられて、焼き尽くされてしまった皆々様。
ですがその眼前に差し出されるのは…?
───ほら、『幸せ』でしょ?