さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

443 / 1416

何もしなけりゃ、平和なのにね。



"家"の話

「へぇ?」

 

ある日、唐突に困り事として母からもたらされた話としては。

 

「心霊スポットなんて、随分とまぁ失礼な」

 

現在は実質物置的な感じに使っている古い邸宅(その血筋に列なる僕としてもなぜこの家を残しているのか分からないくらいにはボロ屋だが)に訪れる。

見れば確かに、無理矢理引き戸が開けられた跡や土足で入った跡があって。

 

「あーあーあー」

 

多少()ボロ屋ではあれど少し整えれば暮らすことも可能なくらいには毎年機を見てはメンテナンスをしているが、ここまで荒らされるのは初めてだ。

 

「……なるほど?」

 

そのことを友人たちに話した結果、送られてきたのは有名ウマチューバーだという人の凸動画。

もちろん予想通りそのサムネイルに映っているのは…。

 

「訴えてやろうかな」

 

一応ここ私有地だぞ?

そりゃあ鬱蒼として、人里離れた林の中にある家だけどさぁ!

 

「…ん?……わぁ」

 

 

その"家"を取り壊せないのは、取り壊そうとすると俗にいう『祟り』…のようなことが起きるからであった。

そもそも、その"家"自体は現在の持ち主である一族自体も、いつに建ったものなのかというところから忘れているものであって、『祟り』とやらの結果、必死の連絡が来るまで思考の片隅にすらないような有様だったのだ。

曰く、"家"にいるモノを祓うために専門家を呼んだところ、全員酷い怪我を負って帰ってきたとか。

曰く、除霊のために呼んだお坊さんも行方不明になったとか。

曰く、いわく、いわく……。

そんなこんなで、結局誰も彼もどうにも出来なかったとかで。

 

「…それを考えると、あのウマチューバーさんも大変なことになってそうだなぁ」

 

何故なら、管理者である一族相手には何も起こらないから。

本当に、そんなことあったのか?と思ってしまうくらいに毎度毎度普通だし。

 

「とりあえず、掃除しよっと」

 

 

その"家"にいるモノは執着している。

かつて愛した、かの白きウマに。

その、白きウマの血を継いだ一族に。

だがそれ以外は───呪うが如く。

いや、本当に呪っているワケではない。

"家"にいるモノに、そんなチカラはない。

ただの地縛霊に過ぎない。

神様になんぞ、なれない。

だがしかし、時に【執着】というものは呪いよりも強く、恐ろしい力を発揮して。

それは例えば、死してなお残る念であったりだとか。

それは例えば、生者への妬み嫉みの類いだったりだとか。

……そしてまた、誰かを愛した想いの力であったりだとか。

だからだろうか。

ある意味でその土地は、"家"は──。





"家":
僕の血筋が()()()()所有者な家。
けれども誰も住んだことはないし、時たまの掃除やメンテの際にしか訪れない家。
誰が住んでいたのかも不明。
しかし更地にしようにも出来ないらしいので管理するしかないか〜という感じらしい。
まぁ僕の血筋には何も影響がないからね…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。