『愛』でも『恋』でもなく、ただ純粋に。
昔に、言われたことがある。
『ねェ、チビ』
『なぁに、おじいちゃん』
『家の裏、お山があるでしょう?』
『うん』
『近づいちゃあ、いけないヨ』
『どうして?』
『チビは…気に入られるだろうカラ』
何に?とは、問えなかった。
何故なら祖父が痛いくらいに、まるで
そして、祖父はこう言ったのだ。
『いいかイ?決して、あの山に近づいてはいけないヨ』と。
その日以来、僕は祖父の言いつけ通り、一度もあの山には行かなかったし、行こうとも思わなかった。
「…………」
だけど今になって思うのは、
「まぁ、小鳥の鳴き声さえ聞こえなかったもんなぁ」
───あの山。
*
むかしむかしの、話です。
ある日、ある時、その山に棲むモノの目に世にも鮮やかなほど叩き込まれた【存在】がありました。
その山に棲むモノは、山を管理するある強欲なヒトの家に『厄持って福となす』とでもいうかのように囚われて久しい
──その【
ずっとずっとずっと、他人を呪って生きてきたモノの目が焼けるほどに。
だから、ソレは許せなかったのです。
遠く遠く、山の上から眺めていた美しい【
痩せ細って、枯れ枝のようになって、潰えてしまったことを。
それからというもの、そのヒトの家は次々と不幸に見舞われるようになりました。
それはもう、酷い有様でした。
作物は不作が続き、家畜は死に絶え、病も流行り始めました。
そうして、とうとうその家に住んでいた中枢の人々は皆死んでしまいました。
しかし。
『……』
モノが見つめる先には、います。
かつて、自分の眼を焼いていった【存在】の子孫が。
『……』
モノに、思考はありません。
ただ、あるのはどこをどうすれば他人を呪えるかという一点のみ。
ですが。
それでも。
『……』
山の上から【存在】の子孫を見つめる目は、ひどく優しくて。
モノには、『恋』も『愛』も分かりません。
けれど、ただ一つだけ分かることがあります。
『…………』
それが何かを確かめるように。
確かめるように。
モノはそっと手を伸ばし、 ──。
「はじめまして」
『───────』
その手が…掴まれた。
誰も掴んでくれなかった。
誰もがモノを恐れた。
だから、あの【
いま、いま、いま…、モノの、前にいるのは。
手を、握ってくれたのは。
「僕は"シルバーバレット"と言います」
かつて視た、自分を
山に棲むモノ:
かつてとあるヒトビトの家に飼われていた"
決して善にはなれない、他人を呪うしかできない存在。
だがそうであるが故に、誰も傍に寄ってくれなくて『孤独』だった。
でも、ある日視た【
危機感知能力に優れた【
あの【
────そして、永い時を経て、怪物は"ひかり"を視る。