さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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───アハハ。



成った

ぐちゃぐちゃと音が聞こえる。

自身の体を這い回り、けれども自身を害する意思はないと明確に伝えてくる"ナニカ"。

臭うのは名状しがたいモノ。

普通に生きていくだけならそう嗅ぐこともないだろうほどの…。

 

眠っている。

眠っている、…はずだ。

しかし自身が知覚しているソレらはあまりにもゲンジツテキで。

……夢だと言い切るにはあまりに生々しかった。

 

(……)

 

目が覚めたらいつもの部屋だった。

だが体には"触れられた"という感覚がハッキリ残っていて。

『気持ち悪い』というよりかは、折り重なり、積み重なった山から這う這うの体で逃げ出してきた、時のような。

そんな。

グズグズに溶けた汚泥のような(ソコ)から。

 

手が、這う。

祈るか、はたまた、その手のひらから自身の力を注ぎ込むように。

眠る、眠る。

蛹が外を見ることを許されないように。

眠る。

"声"を聞きながら。

聞こえているようで、その実よく聞こえない"声"。

けれども、"声"は。

たしかに。

己が、

 

───産み、落とされるのを。

 

 

産まれて、落ちて、積もって。

折り重なって、堆積して、混じりあって。

自分が自分じゃなくなって、分からなくなって。

それでも、ただただ()()()()()に巻かれて。

墜ちろ墜ちろと()ったワケではないのだが、オチてきたモノと同化して。

混ぜて、合わせて、孤独では、なくなって。

そうして。

 

───オチてきた。

 

けれど。

ソレは、沈ませるには()()()()()

だって、キラキラと輝いていた。

だから。

だから。

だから!!!!

だから!!!!!

だから!!!!!!

 

押し上げた。

グイグイと、沈まぬように。

支えて、持ち上げて、押し留める。

そして。

 

「……?」

 

目を開いたのだ。

ソレらは歓喜した。

やっと会えた、()()()()と。

ずっと待っていた、この時を。

すべてを()()()()()、この子を。

泣き声が止む。

うめき声が止む。

それはまるで、『救い』とやらいう三流品が来たときのごとく。

 

───救世主サマ?

 

…いや、そんな大層なモンではない。

またそんな陳腐なモンでも、ない。

 

【ぜンぶ、こワしtE?】

 

 

想いのチカラというのは、時に莫大な影響力を持つ。

足りないあと一押しとか、そういうレベルの話ではなく。

ならば、それは。

 

「負の感情も、有り得るよなぁ」

 

正しければ、いいという訳でもなくて。

時には。

時には、"負"の方が、ずっとずっと。

 

「ほら、カミサマってヤツと同じだよ」

 

恐ろしいから、祀るのだ。

恐れられるから、

 

「『強い』のさ。ね、」

 

──ソレ、アンタらはよく。

 

「知っている、でしょう?」

 

まぁ、憐れみなどないけれど。





蠱毒の塊、かの███から形作られたもの。

それは、世界を塗り潰すほどに。
焼き焦がし、灰燼に帰するほどに。

───とか、ね?
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