───たった唯一。
"
あのジャパンカップで僕は『領域』というものに至った。のだが、
「ふむ…?」
たしかに『領域』というものはすごかった。
どこまでも行ける気がした。が、
「まだ余力がある…?」
そう、何かが足りない。
アレが全力ではない。
まだナニカあるはずだ。
「…まぁ、ちょうどいい機会だ。
探ってみるのもいい、か」
そんなことを呟きながら僕は飛行機へと乗り込んだ。
*
まわりにいる『領域』を扱えるウマ娘たちに話を聞いてみたがその誰もがシルバーバレットの望む答えを出さなかった。
『領域』というのは「時代を作るウマ娘が必ず入る限界の先の先」らしいが…、
「僕みたいなのはいない、のか…」
話を聞いた誰もが『領域』に対して、『領域』にいたると自分の持つ力以上のものが出せたと言っていたがシルバーバレットのように『領域』にまだ先があると言ったものはいなかった。
「これも違う」
日本より遥かに遠い地で走りながらそう呟く。
違う、違う。
僕が求めているのはこんなものじゃない。
まだ行けるはずだ。
「…なにが足りない?」
分からない。
そもそも最近『領域』すら出なくなってきた。
僕にだって『領域』を出せたのだから、時代を作るウマ娘になれる資格はあるはずだ。
なら、なにが足りない。
『領域』を出すことを、何か見えないチカラに押さえつけられている感覚。
「まだ、ここじゃない……?」
何となく思い至って出した言葉に、そうかもしれないとぼんやりと思考する。
ならば、僕がソコに、『領域』の先に至れるのは…?
*
走っていた。ただ、走っていた。
『領域』を封じられたままだったここ数ヶ月。
それが今、凱旋門賞の地で今か今かと爆発するのを待っている。
「ふぅ、ふ…、ふぅ、ッ!」
どうしようもなく気分が高まっている。
はやく、はやく総てを
「ぜんぶ、ぜんぶ僕に
世界が変わる。
あぁ、こんなの……、
時代を作るなんてモンじゃない。
これは、
「
踏み込んだソコから地面が抉れる。
稍重であるはずの地面も凄まじい勢いで走っていく。
その中で、どうしようもなく笑ってしまう。
わけの分からない、埒外のチカラに呑まれそうになる。が、
「……なんだ、もう終わりか」
ゴールを切ったその瞬間に掻き消える。
それと同時に自分はもう『領域』を使えないだろうと、…いや『領域』なぞ使う必要がなくなったと理解する。
「…あーあ、こんなトコに至っちまったら何も面白くなくなるっての」
そうボヤく
僕:
…なんか至っちゃいけないところに至った気がする。
でもそこに至ったおかげで『
世界を覆しただけにとどまらず、『
ロマンだな、ヨシ!
『
なんか知らん間に産まれた『シルバーバレット』とかいうバグを消そうとしたらそのバグ本体から特攻の一撃をいただいてしまった御方。
大ダメージ。HPが赤バー。死に体。
そのあとはボロボロの体で銀弾産駒とかいうバグの大増殖を見届けることしかできないようにされちゃうんだ…。かわいそ。
"アンタ"にだけは、負けられない。