内包。
伸ばされた手が、力いっぱいに自分の首を掴んだと理解したのは「がぐ!?」と息が詰まったからだった。
目の前には友人であり、みんなから慕われる生徒会長であるシンボリルドルフがいて。
そんな生徒会長に、きっと目が飛び出るほど高価だろう執務机を背に押さえつけられている僕は…。
「…………っ!」
……片手だけども、首を絞められていた。
それもかなり強い力でだ。
僕の手は彼女の手首を掴み抵抗を試みているが、その力は緩む気配がない。
さすが三冠バ、この筋力の前では僕なんて赤子同然なのだろうか?
…いや違う!
これは意図的に力を込められているんだ!!
「かひゅ……っ、」
酸素を求めて口を開くけども、喉からは変な音しか出てこない。
遊びとかそういう次元じゃないぞこれ!?
まるで気道が完全に塞がれてしまっているような感覚で、今すぐにでも解放されなければ窒息死してしまうんじゃないかという恐怖心すら湧き上がってくる始末だ。
そうして必死にもがき苦しんでいる最中、「……ふぅん?」と興味深そうな声が聞こえてきたと思ったら───急に圧迫感がなくなった。
「げほっごほごほっ!!」
一気に肺へと流れ込んできた空気に咽せ、ぼた…と生理的に流れ出てきた涙を拭う余裕もなく咳を繰り返す。
あぁ苦しい……死ぬかと思ったよ本当に……。
「大丈夫かい、シルバー?」
「ぜぇー……ぜぇー……」
全然大丈夫じゃありませんとも。
むしろなんで平然としてられるんですかねあなた。
こちとら酸欠寸前だって言うのに……。
「…………あの、触れるにしても、ぜぇ…、もうちょっと優しくしてくれませんか、ねぇ…?」
「あぁすまないね。つい力が入ってしまったようで」
「ついで済ませられる問題ではないと思うのですがそれは」
「しかしキミが悪いんだからな? 私以外のウマの名前を、あんな笑顔で…」
「えっと……はい?」
言っている意味がよくわからないんだけど……。
でも、
(目が、マジだぁ…)
*
シンボリルドルフには"いつか"の記憶がある。
それは様々なルートに分岐していて、しかもそのいくつもあるルートを優秀なルドルフの脳は余すところなく記憶しているのだ。
そしてその記憶の中には当然のことながら『トレセン学園生徒会長』としての自分も存在しているわけであって……。
つまり何を言いたいのかと言うと、今のシンボリルドルフは───。
「でも、それでも私は
変わりない。
少しばかり、多くの
「そういうことさ」
【皇帝】:
シンボリルドルフ。
様々な世界線の
なまじ脳の許容量が【皇帝】なのもあって…みたいな。
また様々な世界線の
なお語られている相手はだいたい…?