さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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乞われたあとで。



Really like.

「"Really like"では好きになれるだろうけどね」

 

冗談混じりに、それでも真剣に、想いを告げればそう返された。

いわく、『自分の"大切"というものは大概が家族やトレーナーに向いており、その二の次でもいいのなら』とのこと。

 

「…ホントに、いいの?」

 

キミが自分を見てくれるだけで上々だと告げれば困惑した顔。

そりゃあそうだろう。

キミの家族やトレーナーさんに勝てないことはハナから分かっていた話で。

それでも、少しでも自分を意識してくれるのなら。

 

「……うん、分かった。じゃあ、よろしくお願いします」

 

そして、キミと自分は親しい付き合いをするようになった。

とはいえ、今まで通りの関係が変わるわけでもないし、キミもそれは望まなかった。

ただ、たまーに二人きりになることがあって、それで家に招かれて食事を振る舞われたり映画を見たりする程度の。

親友とも呼べないけど、でも、ただの友だちというには少し深い、そんな。

 

「あ、あのさ」

 

しかし。

 

「そ、その…服とか、置いていっていいよ…?」

 

毎度毎度終電までには家を出て行って久しかった日。

雨足が強過ぎて帰ることもできそうになく泊めてもらったある日のこと。

唐突な提案だった。

 

───どういうこと?

「だから!うちに泊まればいいじゃん!」

 

顔を真っ赤にして叫ぶように言うキミ。

 

「だっていつも名残惜しそうな顔する癖に!どうせ明日休みって日ばかりに来るんだから、その…」

 

手持ち無沙汰に動く手すらも覚束なく。

言葉少なに、途切れ途切れに紡がれる理由を聞き終える頃には思わず笑ってしまったものだ。

 

「わっ笑うなんて酷い!!」

 

ごめんごめん、と謝ってもまだ頬を膨らませているキミを見てまた笑ってしまえば怒られる始末。

ああもう可愛いったらない。

 

───そんなこと言われると…期待するんだけど。

「…まぁ、キミにならいいかなって」

 

 

どこまでいっても僕はきっと、『愛する』ってことが分からないままなのだろうなぁと思う。

家族愛やトレーナーさんに対する愛はあれども、それはぼんやりとしていて、でもあたたかなもので。

言うなれば…嫉妬とか、そういうものをともなう『愛』が分からぬのだろう。

……だからこそ、この感情は厄介なのだけれど。

 

「…」

 

胸を掻きむしりたくなって、微笑まれるたびにふわふわして。

『幸せ』ってこういうことを言うのかな…という気持ちになっては踏み止まる。

まるで"あちらに行ってはダメだ"と、ある種の断崖絶壁があるような。

 

「……"Really like"だって、言ってるだろ」





僕:
シルバーバレット。
家族愛や友愛なら分かるけど気が狂いそうなほどの『愛』に成りかけると歯止めがかかってしまうタイプ。
家族や周りが愛し合って『幸せ』になっているのを見て、いいなとは思うけどいざ自分がそうなると考えると想像がつかないともいう。
というか対トレーナーでも大概なのに…ねぇ?(ガタガタブルブル)
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