1920 - 1958 シロノマガツ(38歳没)
1935-1966 ホワイトインセイン(31歳没)
1949-1978 ホワイトバック(29歳没)
1973-2021 ホワイトリリィ(48歳没)
って感じでアバウトに年齢考えてる。
元来長生きな家系+あの生産牧場で30歳近くまで生きてるんだから移動した先で愛され大事にされた【白百合】ママンはこれぐらいでもいいよねって。
とは言え玄孫にあたる【銀色の激情】の活躍まで見きるのは滅茶苦茶に長生きだし、旦那様の【電撃の差し脚】さんのことめっちゃ待たせるし、史実でも生存軸でもどちらにせよ我が子たち全員を看取ることになるんだよな…。
それを運がいいと呼ぶのかはさておき。
或る名門競走バ養成クラブにそのウマ娘が入ってきたのはある日のことだった。
聞くにそこそこの時間、車に乗って来なければいけないような土地から来ている彼女は、学校のカリキュラムからして『走ること』が重要視されている自分たちとは違って、走るフォームも着る服も『走ること』に適しているとはお世辞にも言えないモノだったが───。
『…ぇ、』
彼女は──
誰もが眉を顰めるだろうフォームなのに。
競走用の、伸縮性ある服ではない、日常用の服と靴で走っているのに。
…だから、はじめはトレーニングの休憩時間に「冷やかしだ」と見ていた仲間たちも、その走りを見て「いや、本当に速いぞ」と驚き始め。
『…………』
最終的には誰もが唖然とした顔で彼女の走りを目で追うようになる。
そして休憩時間が終わってトレーニングが再開される時になって、彼女は初めて自分が見られていることに気づいたのか、バツの悪そうな顔をした後で言ったのだ。
───帰る、と。
『ま、待って待って待って!』
虚をつかれたクラブの先生が呆然としている横を悠々と横切ろうとする背をみんなで引き止めた。
こんなウマをむざむざと逃すなんて!と。
だが。
しかし。
はじめはよかった。
彼女が入った、はじめは。
誰もが彼女に先輩風を吹かそうとしていた。
フォームはこうだとか、このメーカーのものがオススメだとか。
でも。
『……』
回を重ねる毎に一新されていく彼女の走りを見たら誰もがその気概を失った。
走るフォームも、腕の振り方も関係ない。
逆に
───速すぎることは
そして、そんなことに気づいていく内に誰も彼女に構わなくなり……。
『や、辞めるって…!』
その青天の霹靂を聞いたのは、速すぎた彼女をあの日、誰よりも必死に引き止めたウマ娘で。
しっかとした足取りでいつものように自らの父が待つ車に戻ろうとする肩を掴み。
───だって、お前らオレのこと嫌いじゃん。
『…ぇ、』
煩わしそうに振り返った彼女が、そう告げる。
───清々するんじゃないか?今度ある大会、デカいんだろ?
『そ、そんな…』
───よかっただろ、アンタには。あれだけ出たいつってたんだからさ。
…図星。
そう、そうだ。
はじめは…凄いと、思ってた。
けど徐々に、彼女が洗練されていくのを見ると、あれだけ「あと何日で彼女に会える」とクラブが楽しみだったのに、いつしか「いつ辞める?」とのコソコソ話を常に聞くようになった。
……だって、そうだろう?
速いことはいいことだ。
それは間違いない。
でも速くていいことは、それだけなんだ。
───やっぱオレは集団よりひとりで走ってた方が性に合うみてぇだわ。ザンさん、…ウチのご贔屓の装蹄師サンに勧められたから通ってたケド。
『待っ──』
いま思えばどの口が、と自嘲するが。
はじまりと同じように、引き止めようとした手は。
───じゃあな、もう二度と会わないだろう…。
【白百合】:
ホワイトリリィ。
幼い頃は一人称が「オレ」だったウマ。
実は競走バになっていればTTGと同世代。
嫌われるとその相手がこれ以上不快にならないようにそっと離れていくタイプ。
父親が贔屓している装蹄師に勧められてクラブに入ったはいいが徐々に自分が疎まれ+自分はただ走れるだけでいいのに自分の才覚に魅せられたクラブの大人が勝手に選手登録しようとしたから、で辞めた。
大概のワガママを聞いてもらえるぐらいには父親に溺愛されている。一人娘だからね。
また子が子なら母も母で逃げウマだったり。
…スピードの絶対値の違いから、ね?
引き留めた子:
【白百合】の走りに一目惚れしたが徐々に彼女を疎んでしまったウマ娘。
【白百合】と同い年。
多分この娘が一番クラブに入った当初の【白百合】の世話をしていた。
でも苦い思い出となってしまった。
そして、そんな思い出を抱えながらトレセン学園に入学し、卒業後はいずれ19年振りの三冠バとなる子どもを産む。
もしかするとその我が子が「友だちだよ〜」と嬉しそうに連れて帰ってきた子にあの日離してしまった美しき【白百合】の面影を強く見るやも…?