────みんなアンタと話したいんだ、同じ高さまで降りてきて。
活動報告にてリクエストの受付をしております。
ちまちま執筆していくつもりなのでよろしくお願いします〜。
欧米が誇るG1レースをあらかた獲り終えた気がする。
これほどまでならもう引退しても文句は言われないだろうと、そんなことを先生と話しながらフライトまでの時間を過ごしていた。
「すまないね」
「いやいや、席が取れなかったのは仕方ないですよ。
先生が先に帰ってもよかったのに、僕のわがままを聞いていただいて…」
ブリーダーズカップ・クラシックを獲って、僕たちは同じ飛行機に乗って帰ろうとしたのだけど、残っていた席が1席だけしかなく、家族たちに早く会いたいだろうと気を使ってくれた先生が僕に席を譲ってくれたのだ。
先生は僕のひとつ後の便に乗るらしい。
「あ、そろそろですね。ではお先に…」
先生に一礼して、僕は一歩進もうとした。
そして、意識を失う直前に感じたのは固いものがぶつかった鈍い痛みで…。
「ん゛っ!?」
*
「っバレット!大丈夫かい?!」
「…せん、せ?」
次に目が覚めると心配そうな先生がいた。
鈍い痛みのある後頭部を抱えながら起き上がると、僕たちのいる場所がどうやら救護室のようだと分かった。
「僕、どうして…」
「それがな、」
先生が話したのはこうだ。
ちょうどいい時間になり、飛行機の方へと行こうとした僕の後頭部に未開封の缶コーヒーがぶち当たったのだという。
それは近くにいたとある幼いウマ娘の手から離れたものだったようだ。
彼女の親が言うには、その子はこの前のブリーダーズカップ・クラシックで僕のファンになり、その対象である僕と話したくて、引き止めるために持っていた缶コーヒーを投擲してきた、と。
なかなかアグレッシブな子だな…、と苦笑しながら先生と話をしていれば、控えめに救護室のドアが叩かれ泣きじゃくっている幼いウマ娘が母親らしきウマ娘に連れられてやって来た。
『ひっく…ごめんなさ、ごめんなさい……』
『大丈夫だよ。怪我もしなかったし、自分のファンに気づかなかった僕の落ち度だもの。ね、泣かないで』
『…、』
『ねぇ、キミ名前は?』
『…サンデー。サンデースクラッパ』
サンデースクラッパ、か…。
何故か僕は、目の前にいるこの子に運命のような何かを感じてしまう。
何となく、慈しんでやらなければならないような、守ってあげなければいけないような…。
のちのち、先生にその話をしてみると先生もそう思ったみたいで、
「先生。帰るの、少しズラしてもらって大丈夫ですか?」
「あぁ、もう連絡してある」
日本に帰る時間を少しズラして、僕はサンデースクラッパと思い出作りをした。
彼女は年齢からは考えられないくらい脚が良く、それでいて負けず嫌いだった(でもよく泣く)。
これは強くなるぞ…!と思うと同時に「大きくなったら日本のトレセン学園においで」とも勧誘してしまった。
大きく頷いて、『大きくなったら、お姉ちゃんに勝つ!』と宣言した彼女に、僕はトゥインクルシリーズの未来も安泰だなと感慨深く感じたのだった…。
「ねぇ、先生」
「なんだ、バレット」
「僕、先生と会えてよかった」
「……いきなりどうしたんだ」
「ふふ、言ってみたかっただけ!」
僕:「ぼく もう いかなきゃ……!」が缶コーヒーでキャンセルされた。
サンデースクラッパに何か運命を感じた模様。スカウトするくらいには運命を感じている。
トレーナーである先生に感謝の言葉を伝えたのはなんとなく。
…でも、言わなければいけないような気がしたから。
同期周辺以外ではタキオンとかスズカとか凱旋門賞出走組に絡まれてそう。
サンデースクラッパ:お前がMVP。
史実では僕の半弟(父はおなじみサンデーサイレンス)。ダート馬。
マンハッタンカフェ、もとい"お友だち"に容姿がよく似ている。
マンハッタンカフェ曰く"お友だち"と見間違えるほどソックリらしい。
傍目から見ると気性が荒いように見えるが本当はとても怖がりで泣き虫。
缶コーヒーを投擲したのも「僕を引き止めたい!」から出た無意識の行動だった。
普通のウマ娘にも怯えるので僕に逃げと抜かれた際に使う差し脚を伝授された。
この時の僕との年齢差はテイオーとキタちゃんくらい。
先生:きっと、その言葉は救いだろう。
一緒に歩んできたトレーナー勢のみなさん:
「お゛れ゛/わ゛だじも゛あ゛え゛でよ゛がっ゛だ!!」