さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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すてきなせかいで、あたりまえでしょう?



だってあなたが"かみさま"だから

ずっと、家から離れたどこかで絵を描いているような子どもだった。

周りは我が家の環境を鑑みてか、積極的に関わり合いになろうとする奇矯な者はいなかったし、僕自身ひとりで過ごす方が気楽な子どもであったから、スケッチブックと少しばかりの画材を持っては絵を描いていた。

そんなある日、

 

「綺麗な絵だね」

 

そう、声をかけてきた人。

「隣に座ってもいい?」との問いにコクリと頷けばちょうどいい間隔で座るその人は──僕よりも、たぶん…年上の年齢の男性。

 

「…あなたも絵を描くの?」

「えぇ、まぁ……そんなところかな? ねぇ、良かったら僕にもキミの描いた絵を見せてくれない?」

「……うん」

 

僕は自分の描いた絵をその人に見せた。

どれほど描いても、「見て」と頼んでも見てくれない母とは違い、その人は僕の絵を見てくれている。

それがとても嬉しくて、つい夢中になって筆を走らせてしまった。

だからだろう。

 

「ならおじさんと、一緒に暮らす?」

 

今までの、母親とのすべてを話してしまったのは。

 

「うん。…()()()()

「…。なんだ、気づいてたの?」

 

 

そうして。

父さんは母のように無理に僕を学校には通わせず、「行きたければ行けばいい」というスタンスで自由にさせてくれた。

それはきっと他のきょうだいを育てた上での経験上からなんだと思うけど、それは僕にとってはありがたかった。

……だって、学校になんて行ったってどうせ友だちなんかできないんだもの。

それに、学校に行かなくたって家にはたくさんのきょうだいがいるから。

人それぞれ、十人十色で個性があって。

みんな違っているけれど、それでも家族としてひとつ屋根の下で暮らしているのだ。

それはとても楽しくて、あたたかくて、幸せで。

だから僕は毎日笑って過ごしていた。

 

「おはよう、兄さん」

「あぁ、おはよう」

 

朝起きれば一番最初に挨拶するのはきょうだいのまとめ役であるハイセイコさん。

他にもハイセイコさんの同年代のきょうだいたちが各々朝の準備をしているから挨拶して。

 

「リペ、また絵描きに行くのか?」

「うん」

「あまり遠くに行かないようにするのよ?」

「うん」

 

出かける時にはみんなに見送られながら行ってきますをして。

「ただいま」と言えばおかえりと言ってくれる人たちに囲まれていて。

 

「今日は何を描いたんだい?」

「これ……」

 

そして夜になれば父の部屋に行ってその日描いたものを見せる。

絵を通してしか、『世界』ってモノを認識できないシロガネリペインタ(じぶん)の『せかい』を見てもらうために。

 

「…どう、かな?」

「うん。今日もリペインタの『せかい』は───」





【世界を塗り替えた者】:
シロガネリペインタ。
絵を通してしか『世界』を認識できない子どもだった。
けれども父である銀弾のことは絵を通さなくても認識することができた模様。
たぶん興味のないモノはだいたいが色の塊か、ぐちゃぐちゃに塗りたくったものにしか見えてない。
…だって、そんなものにリソースを割くのは、

───もったいないもの。
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