ある種の信頼。
「キミは、」
僕のために、泣いてくれる?
そう問いかけるとひどく怪訝そうな顔をされた。
「いきなりどうした」
「いや、ね」
ちょっとした、思春期特有の感情からだ。
『もし自分が居なくなったとして』という。
「ミスターも、ルドルフも、…悲しんではくれなさそうだなって」
「……」
「だって、あのふたり強いもんねぇ。どうせ、僕のことなんて一時のことで、すぐに切り替えて前向いて歩いていきそう」
ただの雑談だ。
それ以外に、ない。
「…それで?あたしが何だって?」
「あぁ。でも、キミは悲しんでくれそうだなって」
星というには熱すぎて、太陽というには近すぎる光を宿す瞳が見開かれる。
「……なんだいその顔」
「お前にしてはずいぶんと弱気だと思ってな」
「ひどい言い草だ」
くつくつ笑いながら、話は続く。
「まぁ、確かにお前がいなくなったらあたしは泣くだろうよ」
「だろう?」
「それもワンワンとな」
「…そこまで?」
「あぁ。みっともないくらい泣きわめくぞ」
「へぇ……」
それはなかなか見てみたい光景だった。
「だから安心しろ」
「それじゃあまるで前提が前提じゃないか」
「当たり前だろ。お前がはじめた話なんだから」
くだらない話。
いつものように邪魔が入るでもなく、ただ淡々と。
熱も色もなしに、決まりきった台詞をなぞるように。
*
忘れられるは、怖い。
そう微かに呟かれた音を、拾った我が耳を呪えばいいのか、はたまた。
己が隣に座した背は嫌に華奢で。
「僕のために泣いてくれ」という何とも傲慢な言葉に、「なら、あたしのために『生きる』と言え」とハッキリ言えず。
掴んでいなければ、どこか勝手にフラフラと飛んでいく凧のような、もしくは美しく愛らしい金魚のようなソイツに。
手を伸ばしても届くことはないことは分かっていた。
それでも伸ばしてしまう手をどうにかしたい。
「……何してんだ、あたしは」
頭を抱えてため息をつく。
その吐息すら熱い気がしてならない。
(……こんな感情知らない)
いつの間にか芽生えていたこの気持ちは。
目を開けても閉じても灯ってやまない光は?
まだ弱い光でしかなかったころの。
「、」
おだやかなものだ。
けれど手を伸ばさずにはいれなくて。
綺麗だった。
白い光。
近づきたかった。
近づけば───
本能が、厭うても。
(嗚呼、)
いつか、総てを包むだろう"光"を。
(あたしを、…
てらして。
てらして、くれよ。
他には何もいらないから。
ただおだやかに、照らす、
「
【世界制覇の大エース】:
カツラギエース。
『自分のために泣いてくれ』と乞われつつ、でも本心は言えない誰か。
まだおだやかで、微かだったころの"光"を目の当たりにしていて、それでいて"光"に焦がれている。
総てを焦がす"恒星"ではなく、すべてを包み込む"ひかり"、を───。