さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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微かながらも。



"輝き"

そこに墜ちたのは俺だった。

墜ちていく中で狭いのか広いのか、分からなくなった空を見上げる。

かけられた期待(きれい)な言葉がいつまでも心の中に巣食ってる。

そんな俺を救ってくれようとしたお前は…俺にはもったいないくらい『イイヤツ』だったけれど。

 

"星"が見えたんだ。

無重力に喘ぐように地を蹴って。

誰よりも必死に門に手をかけて。

『自分』というちっぽけな星が崩れていくのを、どこかぼんやり感じてた。

窮屈な、こんな自分を「救って」って、"星"に願ったの。

 

行き着いた先は、面白味なんてなかった。

でもそれを伝えるわけにもいかないし。

『夢』だけ見せて、『夢』を叶えられなかった俺はやっぱりダメなんだなって、心の中で思うしかない。

 

"星"を目指して浮遊感。

(そら)を目指すために、誰よりも早く靴を脱いじゃって。

これからどこへ行くのだろう?と思っても、どうせ行き着くのは"星"の下。

周りのみんなが行けない場所。

…だって、みんな"星"が見えないから。

 

でも、大丈夫だよ。

もう、いいよ。

諦めようとして手放したはずのそれは、いつの間にかまた自分の手のひらに戻ってきて。

その手を離さないようにと、必死になって掴んでいた。

『夢』を諦めたら、何かが変わると思ったけど何も変わらなかった。

諦めた俺の代わりに、【あの子たち】が俺を引っ張ってって。

 

あぁそうか……。

俺は、自分で思っていた以上に欲張りでワガママだ。

だから、この気持ちだけは誰にも譲れない。

ずっと抱えてきた想いがある。

だけど、それを誰かに伝える勇気もなくて。

ただただ胸に秘めたままでいるしかなかった。

いつか消えると思っていたソレを、…【あの子たち】は。

 

「つれてって」

 

手を伸ばす。

一瞬、引っ込みかけた手を強く掴んでは、グイグイと上へ上へと引っ張り上げる力強さに思わず笑ってしまえば、目の前に満点の星空が見えた。

 

 

いつか"星"が潰えても。

その眼の中に反射した"星"が、消えることはないだろう。

寝ても醒めても。

キラキラと輝く"星"。

『夢』から醒めるまで、夜は終わらないから。

夜が終わらなければ、"星"は輝き続けたままだから。

 

───"(ゆめ)"を見ているの。

 

微睡んだ瞳の中にぼやりと瞬く"星"。

暗闇の中に浮かぶ小さな光。

まるで、道標のように。

輝くけれど、触れさせてはくれなくて。

ただ見つめることしか出来ないのだけれど。

それでも誰もが……見ているの。

 

「きれい、だなぁ」

 

また、うつらうつらと舟をこぐ。

そうすれば、もっと"星"が見えるとでもいうように…。

 

「おやすみなさい」





"星":
見えたからには、ずっと見えるまま。
仄かに光っているように見えて、ずっと輝いている。
キラキラ、キラキラ。
…目を離すことすら、許さないとでもいうように。

────光り、輝いて。
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