さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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終わる様が、一番"きれい"?



"流星"の差し脚

選手から引退し、裏方へと移行したシルバーチャンプが多数のウマから、まるで眩しいものを見るかのように見つめられているのに気がついたのはいつだったろうか。

 

「あぁ、いいっすよ」

 

シルバーチャンプは断らない。

頼られれば頼られるだけ、その期待に応えるように、いや応え過ぎるまでに相手を見て、その相手に沿ったトレーニングやメンタルケアをしていくのだ。

献身的…というよりも、もはや残酷なまでに。

寄り添ってくれる。

巣食()って、くれる。

 

「おぉ、前回よりもタイム早くなってますね!」

 

たくさんの選手を相手しているというのに、その誰もを記憶していて。

甘過ぎもせず、締めるところはキチンと締める。

確かにそれを見ると、向いているのだろう。

誰かを支えるということ。

未来に託すということ。

でも。

…しかし。

 

───"あの日"見た星屑が、今でも目に焼き付いている。

 

 

それは、"星"が崩れる瞬間だった。

決死で、必死で、誰よりもソレを求めて。

手を伸ばした姿が、流星の尾だったと気づいたのは"星"が割れてから。

 

割れて、崩れて、形も不格好なのに。

それでいて、どうしようもなく目を惹く。

あの"星"に手を伸ばせずとも、こちらの"星屑"ならと、欠片になったからこそ思ってしまう。

 

(……綺麗だ)

 

ただただ純粋にそう思った。

こんなにも美しいものがこの世にあるのかと思った。

レースなんて、そんなものとは無縁の世界にいたはずなのに。

それでも、目を奪われた。

心を奪われてしまった。

 

"あの星"みたく、あんなギラギラとしたモノじゃなくて。

割れて、まるで金平糖のように淡く光る"星屑"に。

 

「はじめまして!…新入生、だよな?」

 

その一言さえ胸を高鳴らせる。

ただ一介のウマでしかない自分を、見かけるたびに気にかけてくれて、時にはシューズだって一緒に選びに行ってくれる。

 

「これなんかどうだ?っと、サイズ展開は……」

 

いつも通りの優しい笑顔を浮かべながら、自分のことを見てくれる。

 

「はい……。大丈夫です」

「よかった!……んー、でもワンサイズ大きくした方がいいんじゃないか?」

 

自分より少し背の高いその人が屈んでシューズのサイズを確認している姿にじわりと熱が滲む。

 

誰にでもやさしいアナタ。

誰にでも、平等に輝く"星屑"。

ゆえに。

 

───きっと、いつかどこかへ行ってしまいそうな気がしてならないのです。

 

 

アナタは"星"になれなかったと言うけれど。

アナタが"星"でないというのなら、アナタに魅せられた私たちは…。

 

「いったい」

 

"何"だと、言うのでしょうか。





【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
裏方に回ったすがた。
誰でも寄り添って面倒みてくれるウッマなせいで…。
またそれまではレースに興味がなかったのに、あの凱旋門で脳焼きされてトレセン学園に入学してきた子もいるらしい。
伯父も伯父なら甥も甥。存在が罪過ぎ定期。
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