『あと』を残す。
それは『
『分かりやすい、
小さく振り向いたアナタが笑う。
そうして、呼び止める声も聞かず去っていった。
*
「…」
べちゃ、と一歩進むたびに張り付く足の裏にその影は顔を顰める。
「…………っ」
足を軽く上げるだけで難儀する有り様に辟易としながら、影はなんとか前へと進んだ。
───あの日以来、ずっとこんな調子だ。
煌びやかな世界に飛び込んで、
一足飛びでなんて届かないからこそ、地を這いつくばりながら駆け上がっていくのだと思っていた。
だが、現実はどうだろうか?
「…でも、『
よく目立つ色が、跡を残す。
きっと誰もが目を見張るような色。
自分がそこを歩んだ跡で、誰かの目印になっているならいいと思う。
…"あの人"のように。
そんなことを考えて、ふっと笑みを浮かべた。
「……行かなくちゃ」
そして、大きく踏み出した足は、しっかりと地面を捉えていた。
*
俺の足には、張り付くほどのモノはなかった。
だから。
「───〜〜〜っっ!!」
脂汗が滲み。
口からは今にも悲鳴が出そうになる。
それでも。
それでも、と。
手は止まらない。
噛んだ布が軋んでいく。
じわじわと広がる色。
「は、は…っ」
やっとのことで開けた口から、べちゃと唾液を吸った布が地面に落ちる。
おぼつかない足取りで身を起こせば、確かに痛みが脳髄を灼いた。
「ぅ、う゛…」
けれど、それしかしようがなくて。
しょうがなくて。
俺は、先行った"星"のようにはなれなかったから。
尾を引くほどの煌々しさもなければ、引き留めるほどの強さもない。
ただただ無様なだけの、ちっぽけな…
「スパンコール貼って、周りの光からおこぼれ頂戴してただけだ、俺は…」
足取りは重い。
そして、足跡だって不格好だろう。
一歩一歩が滲み続ける。
それでも、進まなきゃいけないのだ。
「……あぁ、そうだよな」
見上げた空に浮かぶ"星"は、いつか見たものと変わらない。
少なくとも、この目に映す限りは。
「俺は、アンタらみたいに輝けないけどさ」
でも。
輝けないなりに、
「『
・
・
・
地面には、足跡が広がる。
ひどく目につく、赤い、赤い。
踏み潰された痕。
または、自分の身を削った跡。
しかしそれは…どうしようもないほどに『
恐ろしいのに、目が離せない。
忌避しようとするのに、惹かれてしまう。
まるで呪いのようなソレは、見る者を惹きつけてやまない。
「……」
その跡を辿れば、いずれ行き着く先があるはずだ。
それを人は希望と呼ぶのか、絶望と呼ぶのか。
あるいは……。
踊るように歩いていった"はじまり"と。
"はじまり"ほどではないが、それでも重い足を動かしていった"にばんめ"と。
"はじまり"と"にばんめ"みたいに
そんな、話。