さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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実は二年連続の三冠バなおふたり。
ちなトレーナー同士も顔見知りな模様。



ギャングスタアと蓋世不抜

遠いとはいえ親類だからか、または三冠バ同士であるからか、シロガネガイセイとシルバギャングスタは仲がよかった。

 

「よぉ、ガイセー先輩」

 

どかりと向かい合わせに座したシルバギャングスタにシロガネガイセイが手をひらりとあげる。

挨拶のかわりだ。

何故なら、現在のシロガネガイセイはハムスターもかくやというように頬が食べ物でパンパンになっているので。

 

「珍しく、よく食べてんだな」

「…まぁ、ね」

 

ごくっ、と喉が動いて。

けふっ、と息を吐く姿は関わるようになってから今までで見たことがないくらいには真剣で。

 

「ちょっと…悔しかっただけ」

「ふぅん」

 

いま現在に至っても無敗の三冠バであるシロガネガイセイは有馬記念をもって引退すると明言している、からこそ。

相変わらず思考が読めないのは、きっとお互い様だろう。

自分たちの交友関係はいつだって、『走ること』で成り立っていた。

…が故に。

 

「久しぶりに、遊ぼうぜ──ガイセイ」

「…うん、グス太」

「その呼び方やめろって言ったろ」

 

 

シロガネガイセイの、スタートの上手さは何よりも、誰よりも、理解していた。

けれども。

 

(は、?)

 

まるでシンクロしたかのように、同一で。

ゲートから飛び出し、一瞬で最高速に持っていく。

舐めていたつもりはない。

だって、ソイツも三冠バなのだ。

シロガネガイセイと、()()──。

 

「…ックソ!」

 

駆けてゆく。

逃げ去って、ゆく。

むざむざと、隔絶を見せつけられる。

戯れのようにも、死闘のようにも見えるソレを、()()()()()()()

まるで違う世界だ。

気づけば必死に隔絶(ふたり)に追い縋る自分の横には、同類が。

 

……嗚呼、そうとも。

諦め、切れないのだ。

焦がれてしまったから、焦がれて、止まないから。

目の前が汗か、…いや汗だ、で滲む。

白く、鮮烈な光がひとつの大きな極光みたく。

冬の午後を、切り裂いて、いく。

 

「……ッ!!」

 

追いつけない。

届かない。

そんなことは分かっていた筈なのに、それでも尚。

無我夢中で手を伸ばしてしまう。

それは、そう。

まるで、星を掴むような行為だった。

 

───────

─────

───

 

「だァァァァァ!!負けた負けた!完膚なきまでにってヤツ!」

「…そう、」

 

髪が、勝負服がしっとりと。

冬の冷たい風がちょうどいいぐらいには火照った体で、ふたり減速する。

 

「それにしても、」

「んー?」

「ゲート、凄かった。グス太、昔からスタート苦手だったのに」

「そうだろォ?カオルちゃんとめっちゃ練習したんだぜ〜?」

「そう」

 

普段は他を歯牙にかけない態度のシロガネガイセイだが今日に限っては雄弁で。

 

「キミと走れて、よかったよ───シルバギャングスタ」

 





【再来】:
シロガネガイセイ。芦毛。
無敗の11冠バとして勇退。
引退レースであった有馬記念にて後輩兼知己の【銀色のギャングスタ】と戯れのように走った。
どうやら【銀色のギャングスタ】と競り合いになったのが楽しかったようでとても機嫌がよかったとか。

【銀色のギャングスタ】:
シルバギャングスタ。芦毛。
【再来】とは知己の間柄。
マジもんのゲート嫌いだが担当トレのカオルちゃんからのスパルタトレーニングによりロケットスタートを体得。
無事【再来】と競り合い、負けはしたが無事いろいろな方々の脳を焼く。

その他の出走者さん方:
三冠バsに大きく離された後ろにそのライバルたちである【叫び、追う者(クライハウンド)】と【理不尽(キャッチツーツー)】がいて、そのまた大きく大きく後ろにその他の出走者たちがいる形。
みんな三冠バs+そのライバルsにバキバキにへし折られてるんだ。
…まぁ、観客さんたちは脳ハチャメチャにされてっけど。
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