だが、お前が燃え尽きるなど───。
「ずっとあなたを探していたんだ!」
そう言って。
自分の手を掴んだのは、都会から来た御方たち。
そういうのに詳しい知り合いに聞けば有名な選手さんなのだとか。
そんな方が、ただの片田舎に住んでいる一介のウマである自分を探していただなんて何の冗談なのだろう、と。
けれども。
「冗談なんかじゃ、ないよ」
やさしく。
されど力強く。
軋むほどに、掴まれた手から伝う熱のなんと熱い…。
その日から、自分は。
時折尋ねてくる様々なウマに都会においで、と誘われるようになった。
いや、…『都会』というよりは、"トレセン学園"とやらに、だったか。
だが父母や祖父、または妹にすげなくされているというのに機を見計らって僕ひとりだけの時に話しかけてくれる瞳の瞳には嘘偽りがない。
ただ純粋に自分を誘ってくれているのだと感じられた。
しかし。
「ごめんなさい……」
誘いを受けることはできなかった。
だって、自分はもう決めていたから。
この町を出ない。
ここで生きていくと。
だから。
*
やっとのことで、見つけた相手はもう既に燃え尽きていた。
『走り』に対する情熱などなく、ただひたすらに穏やかな日々を享受しようという。
「…クソ!」
その肉体は、どこの誰がどう見ても『完璧』というしかない凄絶なものであるというのに!
ちょっとした、戯れの走りでさえ我らの本能を掻き乱してくるというのに!
それなのに!
このウマは走ることをやめてしまったのか?
ならば、何故
こんなところで何をしている!?
答えろ!!!
怒りのままに詰め寄った。
すると、かのウマは言った。
「もう、……」
その言葉は分かりきっていたことでもあり、また此方としては非常にムカつきを通り越して呆れるようなものであったのだが。
それでもやはり、腹が立つものは立ってしまって。
思わず怒鳴りつけてしまう。
そして、気が付いた時には相手の胸ぐらを掴み上げてしまっていた。
……しまったと思ったときには、もう既に。
「え、いや、待って!落ち着いてよリリィ!」
怒り狂った、かのウマの母に引き離され。
「二度と会わせん」という方がまだやさしいくらいの扱いを受けた。
町に足を踏み入れることすら許されず、無理に踏み入れようとすれば警察を呼ばれかける始末。
ならばどうしようか、と頭を悩ませていたところで当の本人がノコノコと。
「ごめんね。僕も悪いことを言ったよ。本気でしている人を前にして、言っていいことではなかったね」
…あぁ、何も分かってないんだな。
辿り着くところまで辿り着いたなら、もう後は何処に行けというのか。
言うならばレベルもスキルもカンストしちゃったゲームみたいな。
それに、近しい周りがどこか、自分がそうすることを厭うているようなので。
だから、さ。