さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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けれども、声援はかけられる。



『星屑』に、なれなくて

互いに互いの悲しみに酔って、その傷を舐め合って。

理解しているフリをしては、本当に理解できているかなんて。

 

───生きていることがどうしようもなく恥ずかしい。

 

自分の前身みたいなのが、あまりにも大きく光り輝いているものだから。

自分のみみっちさとか、そういうのに。

星屑にもなれないふたりにできることと言えば、その偉大さに傷をつけることぐらいだと自嘲する。

 

愛とも恋とも呼べないままに、毒に呑まれていく。

プラスなことなんて考えられなくて、悪いことばっか考えて。

なんて最悪で最愛の、地獄!なんて嘆きながらもその優しさに浸かり。

 

ずっと人生狂わされてる。

みんなに「愛されてる」と分かっているけど、どうせ重ね合わせているだけなんだろ?

息がしづらくて、苦しくて。

でも声援を裏切れないから終われもしない。

そんな葛藤を繰り返しながら、今日も明日も、きっとまたソコにいるんだろう。

いつだってそうだった。

優柔不断で、諦め悪くて。

『七光りだ』って、『それだけだ』って後ろ指さされても、それでもソコに居続けるしかできなくて。

ふたり、寄り添っている。

 

 

光の方なんて歩けなくて。

日陰の方へと進んで。

闇から生まれたものは、光に当たると消えてしまうのだと嘯いて、こちらへと引っ張ろうとする誰かの手を振り払う。

自分には眩しいほどの輝きなんか似合わないからと、言い訳して目を逸らした。

 

光なんて、スポットライトなんて、遠目で眺めるくらいがちょうどいい。

何度、舞台の上に上がれと手を伸ばされても、アドリブで叫ばれても、観客用の椅子に座って拍手する。

それならそれで構わないけれど、いつかはその席すら壊されてしまいそうだという恐怖心もあって。

だから、自分はこの薄暗い場所が好きなのだ、守らなければいけないのだと言い聞かせた。

ここは自分に相応しい居場所だと、何度も繰り返して納得させた。

こんなところで燻っていても仕方がないとは分かっていても、もう立ち上がる気力も薄い。

 

「…なぁ、行かないのか?」

「行くなら俺よりすごいヤツだろ。…ンなの、世の中にはごまんといる」

 

ふたり寄り添う。

ふたりで、上がれなくちゃ意味がねェと笑いながら。

お互いの顔を見合わせて、迷子になった子どもみたいに寂しげに。

どこか頼りない足取りのまま、手を取り合い、歩き出した。

 

「じゃあ、何を見に行く?」

「何でもいいよ。アンタさえ傍にいるなら」

「じゃあ、俺のオススメでいいか?」

「嗚呼。俺もアンタも、…センスがソックリだからな。アンタがそういうなら、楽しめそうだよ──遥」

「そう言ってくれるなら嬉しいよ───チャンプ」





ふたり:
ある偉大なる『星』に憧れた欠片。
自分たちが『舞台』にあが(主役になれ)る器で無いと思いながらも声援を裏切れない舞台役者。
でも周りからは『舞台』に上がるべき、『舞台』に居なくちゃ話にならない存在だと思われている。
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