さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ウマ娘がデカ娘な世界線。



でっかいけど、ちっさい

ウマ娘という種族は大抵がヒト属よりも大きい、のだが…。

 

「おはようございます、先生」

 

僕が担当しているウマ娘-シルバーバレットは僕よりもちょっと大きいくらいの身長だ。

目測で見ると15cm高いかどうかというところか。

 

「大きい子だと家や家具も身長に合わせたものを特注しなきゃいけないらしいですからねぇ…。まぁ、そもそものところウマ娘の力に耐えられる商品を買わないといけないからかかる費用としてはあまり変わりなさそうですけど」

 

ウマ娘にもウマ娘なりの悩みがあるらしい。

たしかにジャージや制服も特殊素材が使われてるって…。

 

「らしいですねぇ。普段着からしてウマ娘用のものは丈夫なんですけど、練習着となると…」

 

触ってみます?と差し出されたジャージは綺麗に畳まれていて、ふわっとお日様の匂いが香る。

「まだ着てないので…汚くないので…」とおずおず言う彼女だが、この手のものに触れる機会なんてほとんどない僕は興味津々である。

恐る恐ると触れてみると見た目よりずっと柔らかい感触だった。

そして何より…伸縮性がすごい。

 

「これだけ伸びて破れたりしないんだね」

「服よりも逆に靴の方が費用かかるらしいので」

「へぇ」

 

消耗品っちゃ消耗品だけど、よく走っているこの子にしてみたらそっちの方が割を食うらしい。

 

「なので小さいころはよく靴を買い換えてもらってましたね。いま思えば申し訳なかったなぁ…。2ヶ月に1回ぐらい買い換えてもらってたもんで」

 

 

僕はウマ娘として小さい部類に入る。

なので「可愛い〜」とか何だとか褒められるのも慣れているし、抱き締められるのも慣れている。

がしかし。

 

「…(死んだ目)」

 

抱き着かれたところから顔が当たる位置的にもうちょっと手心というか何というか。

それに抱き締める力もそこそこ痛い。

 

「あのー……?」

 

ぺちぺち、と腕を叩いてみても力が緩まる予兆はあらず。

逆に視界を掠める尻尾からテンションが上がっていることが如実に分かって、自身のこれからを察知する。

 

(…あっ、)

 

瞬間、軽く軋む体。

ウマ娘の力ってすご〜い…と、自身もウマ娘であることを棚にあげて現実逃避してしまう程度には走馬灯を見た。

軋んだ骨って、あんな音出すんだね。

 

「…わ、ごめん!大丈夫!?」

 

ぱっ、と離れた彼女はこちらを見て顔を青ざめさせている。

……そんなに心配されるほどひどいことになってた(もしくはなりかけた)んだろうか。

 

「えっと……うん、大丈夫だよ。でも力は加減してほしいかな……」

「…ごめんね」

「ん」





僕:
シルバーバレット。
ウマ娘の中では非常に小柄だがそれでもヒト属成人男性くらいはある。
しかし大勢のウマ娘から見るとミニミニちゃんなのでよく抱き締められているらしい。
だがその場合、骨は軋むとかどうとか。
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