さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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独り占めしたいと乞うのは、ワガママでしょうか。



慈愛というよりかは、

シルバーバレットが気性の荒い仔たちの先生というか保護者となったのは半ば必然的なものであった。

生来のおだやかさとそれに共存している強者としての素質。

本人にしてみれば子ども相手に圧を出したくないようだが親の言うことさえ中々聞かない子どもたちにとっては、その穏やかさが逆に恐ろしかったこともあったらしい。が、

 

「どっちか言うとジジイよかハイセイコさんの方が怖かった」

 

そう、語る者たちが多い。

いわく、何だかんだシルバーバレットは面倒を見ていた子どもたちに甘く、怒るときは怒るが褒めるところはちゃんと褒めて伸ばすタイプだったとか。

…というか褒め殺しにしてきたとか。

けれども。

 

「いや〜、アレは怖ェよ。ハイセイコさん、いつもジジイの傍にいんだけどさ、俺らが褒められてる時ならまだしも怒られてる時にさぁ…俺たちを射殺さんばかりに睨んでくるから」

 

俺たちがイイコにできるようになったのはハイセイコさんのお陰だな、ウン。

そんなことを、多少青ざめながら語ってくれたかつての子どもたちのことを思い出す。

……はて、

 

「あの子たちのこと、そんな目で見てたの?」

「そう…ですかね?」

 

こてり、と首を傾げるシルバーバレットの前には同じく控えめながらも首を傾げる件の"ハイセイコさん"-シロガネハイセイコがいた。

 

「そういえばハイセイコだけはみんな『ハイセイコさん』って呼んでたよね。他はみんな呼び捨てとかあだ名とかだったのに」

 

…まぁ、ハイセイコはみんなのまとめ役だからねぇ。

やわらかく告げられた言葉にニコリ、としながらもその実、心の中で思っていることは違う。

 

シロガネハイセイコは父であるシルバーバレットのことを、深く深く敬愛している。

が、かつて自分一人だけに注がれていた諸々が分配されては平等に、弟妹もしくは甥姪に注がれていく現状に()()()()不満を抱いていることも事実であった。

 

(僕が、いちばんはじめにお父さんに見出されたのに)

 

──なんてことは口には出さないけれど。

 

「ハイセイコ」

「はい…?…!」

「ハイセイコ、いーこいーこ」

 

屈むようにジェスチャーされて、素直に従えば、次の瞬間抱き締められて。

その胸元に耳が来るように配置されれば小さくも温かくやわい手がハイセイコのサラサラの髪を撫でた。

 

「…………」

「ふふっ、照れてるね」

「べ、つに……そういうわけじゃありませんけど……」

 

でもやっぱりちょっと恥ずかしくて俯くハイセイコの顔を上げさせて、シルバーバレットはその額にキスをした。

 

「おとうさん!?」

「…むかし、よくしてたねぇ」

 

まだ、ふたりきりだった時に。

キミが寝るのを怖がるものだから。

「大丈夫だよ」って、「お父さんが傍にいるからね」って。

「だから、怖がらなくていいんだよ」って伝えたくて。

 

「……覚えてるかい?」

「……はい」

 

でも、あなたが、父さん。

そんな人だから、僕は…。

 





僕:
シルバーバレット。
父であったり祖父であったり。
気性難児童館みたいなことをやっている。
また幼少期が幼少期だったため、不安げにしている子どもを見ると無条件でヨシヨシしたりなどする。
ちな今は情を向ける量が分配されているためさほど問題はないが初期にいけばいくほどに向けられる情が大きいため…ハイ。

【銀色のアイドル】:
シロガネハイセイコ。
僕にいちばんはじめに見出された子ども。
なので僕のクソデカ情を一時一身に注がれていた過去がある。
どれほど泣いてもどうしても丸っと受け入れられ愛されていたところに「今までキミに向けていた感情をちょっと他の子にも分配するね!」されたら…ウン。
こうなっても仕方ないっていうか…ハイ。
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