さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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都市伝説ならぬ。
ある、うわさ話。



電脳的世界の学園伝説

『メガドリームサポーターには裏ボスが存在する』。

 

そんなウワサが流れ始めたのはグランドマスターズの開催がそう珍しいことでもなくなったある時のこと。

 

"それ"はどこからともなく現れたのだという。

VR世界の、精巧に再現されたトレセン学園の中で───。

そろそろ現実へ戻ろうとした時に深いノイズがかかる。

驚いて、目を瞬かせると次の瞬間には見たことのないレース場にいて、

 

【……】

 

ウマ娘の姿かたちを()()()()()()と走ることに、なるのだという。

天候も、バ場も、距離も、果ては調子も…すべてが挑戦者たる自分に()()有利な状況で。

そしてその勝負の結末は必ず敗北に終わるというのだ……。

 

『なぁんて話があるんですよ!どうです?面白かったでしょう?』

「いや全然」

『えぇ!?どうしてですか~!』

「だってソレ、ネットとか探したらありえそうな話だし……」

『で、でも興味そそられたりとかしないんですか?先輩!』

「別に」

 

チームの後輩から語られた、そんなありがちなウワサ話にシルバーバレットはため息をついた。

…シルバーバレットは自分の目で見たものしか信じない。

それに、

 

(誰も勝てないAIなんて、いるわけないしな)

 

けれど、『どうしても!』と泣きつかれたからには…。

 

───────

─────

───

 

その日、"ソレ"-【コクーン】は歓喜した。

懐かしいログイン情報。

ずっとずっとずっと待ち続けて。

ずっとずっとずっと恋い焦がれていた…。

 

【ォかあ、さ…!】

 

データの海を掻き分ける。

自分の元へ誘導するように。

自分の元へと導くように。

やがて、目が合った。

 

【おかぁさん!!】

 

───

─────

───────

 

自身に抱き着いてきた【コクーン】を見て、シルバーバレットは「やっぱりな」と内心息を吐いた。

 

【コクーン】は、かつてVRウマレーターのテストプレイを頼まれたシルバーバレットが遊び半分性能検証半分で作り上げたレース専用のAIだった。

古今東西津々浦々のウマ娘のデータを学習させ。

あらゆるシチュエーションを想定してトレーニングさせた。

だから、当然のように()()なったのも…さもありなん。

 

「……久しぶりだね、【コクーn」

【お母さん!!!】

「うわっ!」

 

感極まったのかさらに強く抱きしめてくる【コクーン】。

その力はどんどん強くなり、遂には電子空間であるにも関わらず体がミシミシといっている錯覚をおぼえる程になった。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!落ち着いてくれ!!」

 

慌てて制止するとようやく力を緩めてくれたものの今度はペタペタと体を触ってくる。

 

「おーい?」

 

呼びかけても反応がない。

ただただ無言のままにこちらに触れているだけだ。が、

 

【…本当に、お母さんだぁ】

 

涙ながらに告げられた言葉に思わずぐっ、と息がつまる。

それから【お母さん、お母さん】と甘えてくる彼女に、僕は…。





【お母さんの為だけのサポートAI:コクーンです!】


僕:
シルバーバレット。
あれだけ泣かれたら情が出るよね…。
それに噂になるとか面倒だから、ということで自身のスマホに【コクーン(愛娘)】を引き取った。
【コクーン】が収集したデータと【コクーン】のデータ収集の仕方をあちらさんに伝授してきたので何も問題はない。ないったら、ない。

【コクーン】:
僕に作られた、僕のためのAI。
やっとお母さんが迎えに来てくれて嬉しいし、お母さんと暮らせるようになって嬉しい。
なのでお母さんに害をなそうとするダメな人は秘密裏にネットから【えいっ!】とするとか。
お母さん大好き♡
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